ライブハウスで『あの、愛の一群たち』を観た ― 2026年05月27日
南青山MANDALAで『あの、愛の一群たち』(作:清水邦夫、演出:富澤正幸、出演:南谷朝子、大西多摩江、都築香弥子、他)を観た。先日、事前に戯曲を読んだばかりだ。
この南青山のライブハウスで芝居を観るのはイヨネスコの『授業』に続いて2度目である。『授業』は登場人物が少ないシンプルな舞台で、ライブハウスの小さなステージに最適だった。『あの、愛の一群たち』はシンプルとは言い難い芝居なので、あの小さなステージがどんな劇空間になるのだろうと期待した。
配布された配役表に「語り手」という役がある。戯曲にはない役なので不思議に感じたが、芝居が始まると同時に判明した。「語り手」はト書を読む役だった。大道具や小道具がないリーディング芝居に近く、舞台衣装の役者たちは、台本を手にしたまま客席に向かってしゃべる。音楽や効果音はステージ後方のドラムセットの奏者が担当し、ライブ感がある。
舞台装置がないので、ト書の語りを聞きながら頭の中で大道具や小道具を想像する。これは新鮮な観劇体験だった。自分が劇の制作に参加しているような気分になる。
『あの、愛の一群たち』は、狂気をはらんだ3人の女性を中心にした「幻かもしれない男」を巡る重層的な話である。40歳近くの独身女性「ふね」は15年ぶりに日本海沿いの故卿に戻り、古い屋敷を改造した郷土資料館を訪れる。そこで、裸足の不思議な女性「しのぶ」に出会う。彼女はこの屋敷の娘で、精神病院から、夫に会うために脱走してきたらしい。そして、しのぶの姉「ぎん」が登場する。彼女は郷土資料館の主である。ぎんの夫らしき「影」のような館長も登場する。
しのぶの夫は実在するのか幻の人物なのか、はたまたふねの弟が実はしのぶの夫なのか――女性たちの会話のなかで状況は二転三転していく。たどり着いた状況が正解か否かも不明だ。
この劇には「朱鷺」「火事」「来襲する鼓笛隊」などが効果的に登場し、その不気味な異世界的イメージが現実世界に侵入してくる。登場人物が詠みあげる高村光太郎の詩「雷獣」「ぼろぼろな駝鳥」が幻の姿をふらませる。人は己れのなかに幻を紡ぎ、幻を追求していく――それこそが人が生きていくことの実相に思えてくる芝居だった。
この南青山のライブハウスで芝居を観るのはイヨネスコの『授業』に続いて2度目である。『授業』は登場人物が少ないシンプルな舞台で、ライブハウスの小さなステージに最適だった。『あの、愛の一群たち』はシンプルとは言い難い芝居なので、あの小さなステージがどんな劇空間になるのだろうと期待した。
配布された配役表に「語り手」という役がある。戯曲にはない役なので不思議に感じたが、芝居が始まると同時に判明した。「語り手」はト書を読む役だった。大道具や小道具がないリーディング芝居に近く、舞台衣装の役者たちは、台本を手にしたまま客席に向かってしゃべる。音楽や効果音はステージ後方のドラムセットの奏者が担当し、ライブ感がある。
舞台装置がないので、ト書の語りを聞きながら頭の中で大道具や小道具を想像する。これは新鮮な観劇体験だった。自分が劇の制作に参加しているような気分になる。
『あの、愛の一群たち』は、狂気をはらんだ3人の女性を中心にした「幻かもしれない男」を巡る重層的な話である。40歳近くの独身女性「ふね」は15年ぶりに日本海沿いの故卿に戻り、古い屋敷を改造した郷土資料館を訪れる。そこで、裸足の不思議な女性「しのぶ」に出会う。彼女はこの屋敷の娘で、精神病院から、夫に会うために脱走してきたらしい。そして、しのぶの姉「ぎん」が登場する。彼女は郷土資料館の主である。ぎんの夫らしき「影」のような館長も登場する。
しのぶの夫は実在するのか幻の人物なのか、はたまたふねの弟が実はしのぶの夫なのか――女性たちの会話のなかで状況は二転三転していく。たどり着いた状況が正解か否かも不明だ。
この劇には「朱鷺」「火事」「来襲する鼓笛隊」などが効果的に登場し、その不気味な異世界的イメージが現実世界に侵入してくる。登場人物が詠みあげる高村光太郎の詩「雷獣」「ぼろぼろな駝鳥」が幻の姿をふらませる。人は己れのなかに幻を紡ぎ、幻を追求していく――それこそが人が生きていくことの実相に思えてくる芝居だった。
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