イランの現代史は複雑でわかりにくい ― 2025年12月11日
先月(2025年11月25日)出たばかりの次の新書を読んだ。
『イラン現代史:イスラーム革命から核問題、対イスラエル戦争まで』(黒田賢治/中公新書)
1979年のイラン革命から2025年7月までの現代史を解説している。イスラエルのイランへの爆撃とイランによるドローン報復爆撃という、つい数カ月前の出来事までを扱ったホットな本だ。
1979年のイラン革命は、私が社会人になって6年目の出来事で、よく憶えている。それ以前はイラン航空の新聞広告をよく目にした。パーレビ国王(パフラヴィー国王)を起用した日本電気の全面広告も記憶している。インタビュー記事形式の広告だった。国王が一企業の広告に登場するのに少し驚いた。
その国王があっけなく亡命を余儀なくされ、入れ替わりにフランスに亡命していたホメイニ師が帰国、あれよあれよと言う間たに不可思議な宗教国家が成立した。三井物産が中心に設立したIJPC(イラン・ジャパン石油化学)は撤退し、巨額の損失を出した。
あのイラン革命以降のイランの歴史は、私の頭の中ではゴチャゴチャしていてよくわからない。王政を倒したイランは、民主的な共和政に移行するのではなくイラン・イスラーム共和国という宗教国家に移行した。独裁制が別の独裁制に代わったようにも見える。
そんなゴチャゴチャのイラン現代史を整理・把握したいと思って本書を繙いた。著者は1982年生まれの准教授(国立民族博物館)である。あのイラン革命のとき、まだ生まれいない。私自身が馬齢を重ねたと感じてしまう。
読みにくい本ではなく面白い。だが、読み終えても依然として頭の中にモヤがかかっている。イランの政治体制と実態が複雑で、その変転が激しいからである。「保守派」「急進派」「改革派」の違いを把握しにくい。急進派内の穏健派なども出てくる。「監督者評議会」「イスラーム評議会」「国民議会」「革命防衛隊」「大統領」の関係もわかりにくい。すべての上に「最高指導者」(ホメイニー師→ハーメネイー師)がいて、政治と宗教を仕切っている――それはわかる。どう考えても、そこに無理がある。
ただし、本書によって、イランを独裁的な強権国家とは見なせないと認識した。革命後何度か実施された大統領選の経緯は興味深い。国民の動向も政治の大きな要因になっている。本書の末尾近くで著者は次のように述べている。
「大統領選挙への抗議行動や立候補者の変化、投票率の変動、さらには信仰や祭礼の変化など、国家と社会の関係は変化してきたのである。イランに生きる人々は、体制指導部が示す方針に繰り返し異議申し立てを行ってきた。それは抗議運動だけでなく、何気ない行動によってなされてきた。」
『イラン現代史:イスラーム革命から核問題、対イスラエル戦争まで』(黒田賢治/中公新書)
1979年のイラン革命から2025年7月までの現代史を解説している。イスラエルのイランへの爆撃とイランによるドローン報復爆撃という、つい数カ月前の出来事までを扱ったホットな本だ。
1979年のイラン革命は、私が社会人になって6年目の出来事で、よく憶えている。それ以前はイラン航空の新聞広告をよく目にした。パーレビ国王(パフラヴィー国王)を起用した日本電気の全面広告も記憶している。インタビュー記事形式の広告だった。国王が一企業の広告に登場するのに少し驚いた。
その国王があっけなく亡命を余儀なくされ、入れ替わりにフランスに亡命していたホメイニ師が帰国、あれよあれよと言う間たに不可思議な宗教国家が成立した。三井物産が中心に設立したIJPC(イラン・ジャパン石油化学)は撤退し、巨額の損失を出した。
あのイラン革命以降のイランの歴史は、私の頭の中ではゴチャゴチャしていてよくわからない。王政を倒したイランは、民主的な共和政に移行するのではなくイラン・イスラーム共和国という宗教国家に移行した。独裁制が別の独裁制に代わったようにも見える。
そんなゴチャゴチャのイラン現代史を整理・把握したいと思って本書を繙いた。著者は1982年生まれの准教授(国立民族博物館)である。あのイラン革命のとき、まだ生まれいない。私自身が馬齢を重ねたと感じてしまう。
読みにくい本ではなく面白い。だが、読み終えても依然として頭の中にモヤがかかっている。イランの政治体制と実態が複雑で、その変転が激しいからである。「保守派」「急進派」「改革派」の違いを把握しにくい。急進派内の穏健派なども出てくる。「監督者評議会」「イスラーム評議会」「国民議会」「革命防衛隊」「大統領」の関係もわかりにくい。すべての上に「最高指導者」(ホメイニー師→ハーメネイー師)がいて、政治と宗教を仕切っている――それはわかる。どう考えても、そこに無理がある。
ただし、本書によって、イランを独裁的な強権国家とは見なせないと認識した。革命後何度か実施された大統領選の経緯は興味深い。国民の動向も政治の大きな要因になっている。本書の末尾近くで著者は次のように述べている。
「大統領選挙への抗議行動や立候補者の変化、投票率の変動、さらには信仰や祭礼の変化など、国家と社会の関係は変化してきたのである。イランに生きる人々は、体制指導部が示す方針に繰り返し異議申し立てを行ってきた。それは抗議運動だけでなく、何気ない行動によってなされてきた。」
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