「俳優」にこだわり続ける山崎努の自伝を読んだ ― 2025年12月05日
俳優・山崎努の自伝エッセイを読んだ。
『「俳優」の肩ごしに』(山崎努/文春文庫/2025.1)
この自伝、日経新聞の「私の履歴書」(2022年8月)がベースで、私はこの新聞連載を読んでいる。文庫本でまとめて読み返して、山崎努の芝居にかける熱い思いをあらためて感得した。自伝と言うより俳優論に近い。
私が山崎努を知ったのは映画『天国と地獄』である。その後、映画やテレビでは何度も観てきたが舞台は観ていない。現在89歳の山崎努は、61歳で主演した『リア王』(1998年1~2月)を最後の舞台出演とした。今後も彼の舞台を観ることはないだろう。
山崎努は「役者」という言葉が嫌いで「俳優」という言葉を使う。役者は古典芸能の技能者、俳優は体力勝負の永遠の素人という認識である。だから、自由に跳んだり跳ねたりするのが難しくなる60代で舞台出演をやめたようだ。「役者」と「俳優」の違いは私の語感とは少し異なる。だが、「俳優」を「演じる人間」として見つめる視線はよくわかる。
本書は自身のことを「ツトムくん」と呼んでいる。タイトルにあるように、演じるツトムくんを、著者が肩越しに眺めているのだ。面白い書き方だ。読者は、そんな著者を肩越しに見ている気分になる。
新聞連載を読んでいるとき、私はアラバールという劇作家の『建築家とアッシリアの皇帝』を知って興味を抱き、この芝居に関する数回分を切り抜いて保存した。連載の3カ月後、この芝居の上演を知り、古書で戯曲を入手、芝居(出演:岡本健一、成河)を観た。本書を読み返し、やはり『建築家とアッシリアの皇帝』のくだりが圧巻だと思った。
俳優座養成所から文学座に入った山崎努は、劇団「雲」設立騒動のときに劇団「雲」に移籍する。そして、11年間在籍した劇団「雲」を退団するとき、最後の区切りとして自ら企画したのが二人芝居『建築家とアッシリアの皇帝』なのだ。肉体を酷使する滑稽な不条理劇で、山崎努の相方をつとめる若手俳優が次々と脱落していく。61歳を機に舞台出演をやめた山崎努の心意気の背景がわかる芝居である。
『「俳優」の肩ごしに』(山崎努/文春文庫/2025.1)
この自伝、日経新聞の「私の履歴書」(2022年8月)がベースで、私はこの新聞連載を読んでいる。文庫本でまとめて読み返して、山崎努の芝居にかける熱い思いをあらためて感得した。自伝と言うより俳優論に近い。
私が山崎努を知ったのは映画『天国と地獄』である。その後、映画やテレビでは何度も観てきたが舞台は観ていない。現在89歳の山崎努は、61歳で主演した『リア王』(1998年1~2月)を最後の舞台出演とした。今後も彼の舞台を観ることはないだろう。
山崎努は「役者」という言葉が嫌いで「俳優」という言葉を使う。役者は古典芸能の技能者、俳優は体力勝負の永遠の素人という認識である。だから、自由に跳んだり跳ねたりするのが難しくなる60代で舞台出演をやめたようだ。「役者」と「俳優」の違いは私の語感とは少し異なる。だが、「俳優」を「演じる人間」として見つめる視線はよくわかる。
本書は自身のことを「ツトムくん」と呼んでいる。タイトルにあるように、演じるツトムくんを、著者が肩越しに眺めているのだ。面白い書き方だ。読者は、そんな著者を肩越しに見ている気分になる。
新聞連載を読んでいるとき、私はアラバールという劇作家の『建築家とアッシリアの皇帝』を知って興味を抱き、この芝居に関する数回分を切り抜いて保存した。連載の3カ月後、この芝居の上演を知り、古書で戯曲を入手、芝居(出演:岡本健一、成河)を観た。本書を読み返し、やはり『建築家とアッシリアの皇帝』のくだりが圧巻だと思った。
俳優座養成所から文学座に入った山崎努は、劇団「雲」設立騒動のときに劇団「雲」に移籍する。そして、11年間在籍した劇団「雲」を退団するとき、最後の区切りとして自ら企画したのが二人芝居『建築家とアッシリアの皇帝』なのだ。肉体を酷使する滑稽な不条理劇で、山崎努の相方をつとめる若手俳優が次々と脱落していく。61歳を機に舞台出演をやめた山崎努の心意気の背景がわかる芝居である。

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