観劇に先駆けて戯曲『建築家とアッシリアの皇帝』を読んだ2022年11月24日

『アラバール戯曲集2』(アラバール/宮原庸太郎訳/思潮社/1969.1)
 古書で入手した奇天烈な戯曲集を読んだ。

 『アラバール戯曲集2』(アラバール/宮原庸太郎訳/思潮社/1969.1)

 目当ては本書収録の『建築家とアッシリアの皇帝』である。この戯曲は山崎努の「私の履歴書」(日経新聞 2022年8月連載)で知った。山崎努は新聞連載で2回にわたって(8月19日、20日)この芝居の企画・上演を熱く語っていた。あらすじを次のように紹介している。

 「――原始人「建築家」が1人で棲んでいる孤島に飛行機が墜落、生存者は文明人「アッシリア皇帝」のみ。2人きりの生活が始まる。馬乗りをして遊ぶ。「おれが馬?」「違う、おれだ」。やがて芝居ごっこに興じるようになる。様々な役柄、様々な展開。ごっこがエスカレートし、いさかいが生じ――、と進む筋立て。」

 これを読んでもよくわからない。身体を酷使する芝居で、山崎努は幕間で医者に注射を打ってもらいながら演じてそうだ。どんな芝居だろうと興味を抱いた。

 その『建築家とアッシリアの皇帝』が世田谷パブリックシアターで上演(2022.11.21~12.11)されると知り、11月27日のチケットをゲットした。観劇できるとなると事前に戯曲を読みたくなり、ネット古書店で本書を入手した。

 アラバールは私には未知の劇作家である。1932年生まれのスペイン人、パリで著作活動をし、戯曲はフランス語で書いている。ノーベル文学書にノミネートと言われた作家だそうだ。『建築家とアッシリアの皇帝』のパリでの初演が1967年3月、本書が出たのが1969年1月だ。

 『建築家とアッシリアの皇帝』は奇天烈でぶっ飛んだ芝居である。アッシリアは遠い昔の最初の世界帝国だ。ただ一人の文明人・アッシリア皇帝は人類の文明史を背負った存在とも考えられるが、時には哀れな姿にもなる。動物の毛皮で禿頭をかくす原始人は戯れに神のような超能力を発揮することもある。戯曲を一回読んだだけでは、唖然とするばかりである。

 本書には他に5編の戯曲も収録されていて、どれも奇天烈で不思議な世界である。

 私には『迷路』が面白かった。広大な庭に膨大なシーツと毛布の洗濯物を干していて、それを取り込む労働者が逃亡したために迷路が出現している。この状況設定がすごい。

 『戴冠式―秘密伝授の儀式―』も印象深い。屋根裏部屋で進行する話だが、外界が超常現象的に変異する仕掛けになっている。魔女的女性と天使的女性が別々に登場し、それが合体していくのが不気味である。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
ウサギとカメ、勝ったのどっち?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://dark.asablo.jp/blog/2022/11/24/9543260/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。