張騫は司馬遷の親の世代の人 ― 2022年02月19日
中国史の本を続けて読んでいて、積ん読になっていた次の本も読んだ。
『張騫とシルクロード』(長沢和俊/清水書院)
前半は張騫の伝記、後半は張騫が開いたシルクロード概説だ。漢の時代のシルクロードがメインで、最盛期の唐までは射程に入れていない。4世紀頃までの西域史である。
最近読んだ中国古代史の概説書で前漢・新・後漢の姿が多少はくっきりしてきたが、漢人中心の歴史概説だから北方や西方の様子がぼやける。本書は匈奴や鮮卑の動向を描く西域史で、中国古代史を補完できた。
張騫は前漢・武帝の時代の人である。司馬遷も武帝の時代だ。二人とも正確な生年は不明だが、張騫は司馬遷より一世代ほど上のようだ。張騫が西域へ旅立ったのは、おそらく司馬遷が生まれた頃で、『史記』執筆時にはすでに張騫は没している。張騫の事績は司馬遷の『史記・大宛列伝』によって後世に伝わっている。
千年を越える太古以降の歴史を描いた『史記』が、伝説も含めた過去の記録の集成であると同時に、司馬遷が生きた同時代史でもあると気づいた。スゴイと思う。
張騫は武帝の命で、対・匈奴の連衡交渉のため大月氏(ソグディアナ)へ旅立つ。往路で匈奴の虜囚として十年、帰路でも匈奴の虜囚として1年余りを過ごし、13年にわたる旅になった。百余人で出発して帰ってきたのは二人、ただし虜囚時代に得た匈奴の妻も同行していた。著者の次の記述が印象深い。
「張騫は身体は大きく、その性格は寛大で人を信じ、その性格は蛮夷もこれを愛するほどであった。彼が胡妻をつれ帰ったということは、その温かい人となりをよく物語っている。」
帰国後は重用されるも、いろいろあり、さらなる西域への遣使も勤める。著者は張騫を次のように総括している。
「張騫の生涯は派手ではあるが華やかではなく。自らは報いられることあまりに少ない晩年であった。(…)彼の遣使は、直接の目的は達成できなかったものの、それから引き起こされた第二義的な影響は、また実に大きかった。(…)やがて西域、とくに西トルキスタン諸国との、はなやかな東西交易が開花してゆくのである。」
現在、張騫は切手になり、世界遺産シルクロードの起点に銅像が立っているそうだ。
『張騫とシルクロード』(長沢和俊/清水書院)
前半は張騫の伝記、後半は張騫が開いたシルクロード概説だ。漢の時代のシルクロードがメインで、最盛期の唐までは射程に入れていない。4世紀頃までの西域史である。
最近読んだ中国古代史の概説書で前漢・新・後漢の姿が多少はくっきりしてきたが、漢人中心の歴史概説だから北方や西方の様子がぼやける。本書は匈奴や鮮卑の動向を描く西域史で、中国古代史を補完できた。
張騫は前漢・武帝の時代の人である。司馬遷も武帝の時代だ。二人とも正確な生年は不明だが、張騫は司馬遷より一世代ほど上のようだ。張騫が西域へ旅立ったのは、おそらく司馬遷が生まれた頃で、『史記』執筆時にはすでに張騫は没している。張騫の事績は司馬遷の『史記・大宛列伝』によって後世に伝わっている。
千年を越える太古以降の歴史を描いた『史記』が、伝説も含めた過去の記録の集成であると同時に、司馬遷が生きた同時代史でもあると気づいた。スゴイと思う。
張騫は武帝の命で、対・匈奴の連衡交渉のため大月氏(ソグディアナ)へ旅立つ。往路で匈奴の虜囚として十年、帰路でも匈奴の虜囚として1年余りを過ごし、13年にわたる旅になった。百余人で出発して帰ってきたのは二人、ただし虜囚時代に得た匈奴の妻も同行していた。著者の次の記述が印象深い。
「張騫は身体は大きく、その性格は寛大で人を信じ、その性格は蛮夷もこれを愛するほどであった。彼が胡妻をつれ帰ったということは、その温かい人となりをよく物語っている。」
帰国後は重用されるも、いろいろあり、さらなる西域への遣使も勤める。著者は張騫を次のように総括している。
「張騫の生涯は派手ではあるが華やかではなく。自らは報いられることあまりに少ない晩年であった。(…)彼の遣使は、直接の目的は達成できなかったものの、それから引き起こされた第二義的な影響は、また実に大きかった。(…)やがて西域、とくに西トルキスタン諸国との、はなやかな東西交易が開花してゆくのである。」
現在、張騫は切手になり、世界遺産シルクロードの起点に銅像が立っているそうだ。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://dark.asablo.jp/blog/2022/02/19/9465547/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。