『カペー朝』に続いて『ヴァロア朝』を読んだ2026年02月28日

『ヴァロア朝:フランス王朝史2』(佐藤賢一/講談社現代新書)
 佐藤賢一氏の『カペー朝:フランス王朝史1』が意外に面白かったので、続編にあたる『ヴァロア朝』も読んだ。

 『ヴァロア朝:フランス王朝史2』(佐藤賢一/講談社現代新書)

 『カペー朝』は比較的短時間で読了できたが『ヴァロア朝』には思いのほか時間を要した。未知の人名と地名の奔流に足を取られた。ページ数も増えている。語り口は面白いが、細かな出来事が次々と出て来て少々とまどう。私はそこまで詳しい情報を求めているわけではないのだが、という気分で読み進めた。

 ヴァロア朝(1328-1589)は、日本だと南北朝時代から室町時代を経て安土桃山時代までの約260年であり、13人の王が登場する。本書は一人1章、全13章でヴァロア朝の王たちの行状や事蹟を紹介している。まさに王朝史であり、社会史や文化史ではない。百年戦争やユグノー戦争を含む時代だが、そんな出来事も王朝史の遠景に過ぎない。

 本書で興味深かったのは、後半の宗教戦争に関する記述だ。旧教と新教が対立した時代のフランスの動向は、いまひとつわかりにくい。本書によって、そのわかりにくさの由縁が見えてきた。

 『カペー朝』の読後感で書いたが、私はフランスの中世史に暗い。フランク王国分裂からフランス革命までの千年近い歴史がよくわからない。だが、読書メモによって、世界史シリーズの中世ヨーロッパを扱った巻を4冊も読んでいたと判明した。

〔文春版 大世界史7〕『中世の光と影』(堀米庸三)
〔中公版 世界の歴史10〕『西ヨーロッパ世界の形成』(佐藤彰一、池上俊一)
〔中公旧版 世界の歴史3〕『中世ヨーロッパ)』(堀米庸三)
〔河出版 世界の歴史9〕『ヨーロパ中世』(鯖田豊之)

 にもかかわらずフランス中世史が頭に入っていないのは、わが忘却力のせいである。中世ヨーロッパを1冊で概説する書では、フランス王朝の細かな経緯にさほど頁を割いていない、ということもある。各国史とヨーロッパ史は趣がかなり違うようだ。時代の実相を把握するには、国王、〇〇公、△△伯たちのプライドを賭けた攻防などはさほど重要ではないのだと思う。

 歴史を知るには大きな流れをつかむのが重要である。だが、ディティールに面白さがあるのも確かだ。『ヴァロア朝』に登場する国王やその一族(母、妻、兄弟など)には興味深い人物が多い。彼らに関する知見によって、概説書をより面白く読み返すことができそうに思える。概説書を再読する日が来るかどうかは不明だが…。

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