討ち入りの日に『 つか版・忠臣蔵2025』を観た2025年12月15日

 昨日(2025.12.14)、紀伊国屋ホールで幻冬舎Presents 劇団扉座第80回公演『 つか版・忠臣蔵2025』(原作:つかこうへい、脚本・演出:横内謙介、企画:見城徹、出演:岡森諦、山本亨、中原三千代、犬飼淳治、砂田桃子、他)を観た。

 劇団扉座の芝居も『つか版・忠臣蔵』も、私には初見だ。賑やかで華々しく、目まぐるしくて楽しい舞台だった。私は忠臣蔵ファンなので、かなりのフィクションやノンフィクションを読んできた。映像もそれなりに観ている。だが『つか版・忠臣蔵』は見落としていた。しかも、観劇当日が討ち入りの日とは失念していた。舞台で「時は元禄15年12月14日……」を聞いて、今日が討ち入りの日だと思い出した。忠臣蔵ファン返上か……

 『つか版・忠臣蔵』の戯曲は読んでいないが、やる気のない赤穂浪士たちを宝井其角がたきつけて討ち入りを実現させ「忠臣蔵の物語」を仕立て上げる話だとは承知していた。つかこうへいらしい切り口だ。

 エンタメとしての忠臣蔵にはバリエーションが無数にある。吉良が善人、浪士が悪人というパターンでは、子供の頃にシャボン玉ホリデーで観たコントが印象深い。食い詰めた赤穂浪士が吉良邸に無心に押しかけ、吉良は「おまえらを心配していた」と歓待するも心臓発作で急死、浪士たちはその急死を復讐に仕立て上げて「エイエイオウ」と叫ぶ。

 『つか版・忠臣蔵』は、愚鈍な内匠頭や怠惰な浪士たちを物語の人物に仕立てあげるだけでなく、善人で気弱な吉良を悪役に誘導する話になっている。その算段が面白い。まさに、つかこうへいの世界だ。

 今回の舞台は脚本・横内謙介だから、つかこうへいの戯曲をアレンジしているのだと思う。どこまでがつかこうへいで、どこからが横内謙介なのか、私にはわからない。二人の相乗効果でより面白くなっているのだろうとは想像できる。芝居のなかの台詞でも何度か語られるが、元禄時代に成立した忠臣蔵の物語の寿命は21世紀にまで達している。驚異の普遍的なエンタメだと思う。

 私が観た討ち入りの日の公演は千秋楽で、カーテンコールには勧進元の見城徹も登場した。あらためて、忠臣蔵は祝祭劇だと思った。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
ウサギとカメ、勝ったのどっち?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://dark.asablo.jp/blog/2025/12/15/9824012/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。