神奈川芸術劇場で『ゴドーを待ちながら』を観た2019年06月20日

 神奈川芸術劇場で『ゴドーを待ちながら』(演出:多田淳之介)を観た。20世紀を代表するあまりに高名な芝居である。ベケットがノーベル文学賞を受賞したのは1969年、川端康成受賞の翌年で私が大学生の頃だ。

 学生の頃に戯曲を読み舞台写真も眺め、それだけで芝居の印象は刻印された。これまで私はこの芝居を観る機会がなかったが、観ていなくてもすでに観た気分になっていた。

 今回の神奈川芸術劇場での公演は「昭和平成版」と「令和版」の二つのバージョンを交互に上演すると知り、よくわからないながらも面白そうだと思いチケットを手配した。

 私は早とちりで「交互」の意味を勘違いしていた。1回の公演で「場」ごとに「昭和平成版」「令和版」を繰り返しながら上演するのだろうと思い、1回で2パターンを観劇できるのはお得だと感じたのである。

 チケット入手後、「昭和平成版」と「令和版」の公演を交互に上演するのだと気づいた。私のチケットは「昭和平成版」だった。上演時間を考えてみれば一度に2つのバージョンをやるのは難しいと気づくはずだった。しかし、この芝居は少しずつズレながらのくり返しの趣があるので、「昭和平成版」「令和版」を混ぜてくり返すという方法も面白いと思う。

 『ゴドーを待ちながら』(昭和平成版)の舞台は十分に楽しめた。円形舞台の4方向に客席があり、客席部分に舞台装置がくいこんでいる仕掛けが面白い。わかりやすさとわかりにくさが混在した20世紀の古典民話のような世界だと感じた。

 実は、今月末『由比正雪』(作:唐十郎、演出:流山児祥)という唐十郎の初期作品の再演を観る予定があり、そのことも今回の観劇の動機だった。『由比正雪』のチラシに「虚実入り混じった唐版「ゴドーを待ちながら」が始まる」とあり、ナンジャと思っているときにゴドー上演を知り、そのチケットも手配したのである。『由比正雪』を観たら、あらためてゴドーを考えてみたい。

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