練達の二人による『朗読劇 古事記』2026年09月12日

 北千住のシアター1010で『朗読劇 古事記』(上演台本・演出:笹部博司、出演:白石加代子、風間杜夫)を観た。

 舞台上にはベンチが一つ。両脇にモダンな街頭が立っている。朗読劇だが、多少の小道具は使う。生の効果音もある。風間杜夫はサメの着ぐるみをまとったりもする。

 朗読は天地の創生から始まる。簡略化した口語でテンポよく進行する。風間杜夫が語る会話部分は、ときに関西なまりになる。スサノウがアマテラスを「お姉ちゃん」と読んだりもする。

 私は先日『古事記』に目を通したので、およその概略はつかめている。1時間半の朗読劇は面白い部分のダイジェストだろうと予感した。実際の舞台は上巻の内容をほぼ忠実に追っていて、神武天皇の名が出て終わる。ヤマトタケルや神功皇后は登場しない。

 上巻・中巻・下巻とわかれている古事記は、やはり上巻がいちばん面白い。朗読劇を観て、あらためてそう思った。

 冒頭のイザナギ・イザナミの国生みでは、イザナギとイザイナミがビビッと来るとき、背後の街灯が激しく点滅する。他にも街頭が点滅するシーンがいくつかあった。

 黄泉の世界で醜い姿をイザナギに見られたイザナミが怒ってイザナギを追ってくる場面、イザナミを演じる白石加代子の迫力が怖い。かつての小劇場を思い出す。

 朗読の合間にトークが入ることもある。風間杜夫が白石加代子をかつての早稲田小劇場の女王とたたえたり、自身をスチュワーデス物語の教官と語ったりもする。観客は総じて年輩に見えたが、彼らの来歴を知らない若い客もいるだろうなと思った。

 風間杜夫は、激しく動き回りながら朗読するとき「77歳にもなって…」とアドリブ風につぶやいていた。そう言えば白石加代子もいい年のはずだと思い、観劇後にネット検索すると84歳だった。とても元気な84歳だ。

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