森村誠一は『忠臣蔵』と『新選組』を書いた国民作家2023年07月31日

 森村誠一が先週(2023/7/24)、90歳で亡くなった。『高層の死角』や『人間の証明』をはじめ、都会的でテンポのいいミステリーは面白かった。『悪魔の飽食』シリーズは衝撃的だった。私には「忠臣蔵と新選組の両方を書いた作家」の印象が強い。

 私は忠臣蔵にハマッた時期があり、新選組にハマッた時期もある。自分では忠臣蔵ファンであり、新選組ファンだと思っている。この二つは史実とフィクションが織りなす虚実の世界が面白い。

 忠臣蔵や新選組を題材にした小説は数え切れない。私はそのほんの一部を読んだだけだが、この両方ともを長編で描いた作家が少ないのを意外に感じている。見落としもあるだろうが、吉川英治は忠臣蔵だけ、司馬遼太郎は新選組だけだ。

 森村誠一は両方を書いている。どちらも週刊朝日連載の長編である(『忠臣蔵』は1984.6.8~1985.5.31、『新選組』は1989.10.6~1990.8.31)。

 忠臣蔵と新選組は日本人の琴線に触れる双璧であり、多くの人にとってポピュラーな存在である。この2作品を残した故に、森村誠一は国民作家と呼べる――そう思った。

 この「国民作家」の訃報に接したとき、大多数の人々と同様に忠臣蔵と新選組が好きな私は、つくづく自分が平均的日本人だと悟った。

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