暗澹たる気分になる『新書 世界現代史』 ― 2026年04月01日
自分が生きている同時代を歴史の眼で捉えるのは容易ではない。だが、いつの時代でも、現代史こそが最も切実な課題である。多くの識者へのインタビューをベースに「世界現代史」を描いた次の新書を読み、暗澹たる気分になった。
『新書 世界現代史:なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか』(川北省吾/講談社現代新書)
著者は共同通信の国際ジャーナリストである。本書は共同通信が配信した国際インタビュー連載記事「レコンキスタの時代」を元に書籍化したそうだ。インタビューの相手は多様な論客(学者、政治家、言論人、活動家など)で、その立場は多岐にわたる。だが、本書の内容は散漫ではなく収斂している。著者の問題意識に基づいて整理しているとも言えるが、現代の時代様相に衆目が一致するトレンドがあるのは確かなように思える。
本書のサブタイトルは“なぜ「力こそ正義」はよみがえったか”であり、エピローグの表題は“「19世紀」へ向かう世界”である。それは、「世界の警察官」がいない「Gゼロ時代」であり、法の支配でなく「ジャングルの掟」が横行する時代である。
冷戦後のグローバリズムの時代は、米国1強でもG7でもなくGゼロの時代になってしまった。著者は、そんな現代のトレンドライン(時代潮流)を作ったのは米国(トランプ)、ロシア(プーチン)、中国(習近平)らのレコンキスタ(失地回復)への強烈な意思だとしている。
反グローバリズム、反移民、反リベラル、伝統回帰などが現代のトレンドラインのようだ。そんな民主主義や国際法が霞む時代について、本書に登場する論客たちは、その淵源を多様な視点で論じている。
21世紀が19世紀のようになるという議論は、ピケティの『21世紀の資本』を想起させる。ピケティは20世紀に縮小傾向を見せた格差が21世紀には拡大し、19世紀のようになると警鐘を鳴らした。
本書も格差拡大を論じているが、本書の言う19世紀はいくつかの大国の勢力均衡で平和を保つ時代であり、「勢力圏」を争う世界である。それは、小国の命運が大国に握られる弱肉強食の世界とも言える。時代は悪くなると思わざるを得ない。
と言っても、21世紀が19世紀のくり返しになるとは思えない。19世紀には存在しなかった核やSNSやAIは、より危険な要素になるかもしれない。そうでない可能性もある。21世紀の人類には19世紀以降の歴史の記憶が積み上がっているはずであり、その記憶が「いい方向」に作用することを期待するしかない。
『新書 世界現代史:なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか』(川北省吾/講談社現代新書)
著者は共同通信の国際ジャーナリストである。本書は共同通信が配信した国際インタビュー連載記事「レコンキスタの時代」を元に書籍化したそうだ。インタビューの相手は多様な論客(学者、政治家、言論人、活動家など)で、その立場は多岐にわたる。だが、本書の内容は散漫ではなく収斂している。著者の問題意識に基づいて整理しているとも言えるが、現代の時代様相に衆目が一致するトレンドがあるのは確かなように思える。
本書のサブタイトルは“なぜ「力こそ正義」はよみがえったか”であり、エピローグの表題は“「19世紀」へ向かう世界”である。それは、「世界の警察官」がいない「Gゼロ時代」であり、法の支配でなく「ジャングルの掟」が横行する時代である。
冷戦後のグローバリズムの時代は、米国1強でもG7でもなくGゼロの時代になってしまった。著者は、そんな現代のトレンドライン(時代潮流)を作ったのは米国(トランプ)、ロシア(プーチン)、中国(習近平)らのレコンキスタ(失地回復)への強烈な意思だとしている。
反グローバリズム、反移民、反リベラル、伝統回帰などが現代のトレンドラインのようだ。そんな民主主義や国際法が霞む時代について、本書に登場する論客たちは、その淵源を多様な視点で論じている。
21世紀が19世紀のようになるという議論は、ピケティの『21世紀の資本』を想起させる。ピケティは20世紀に縮小傾向を見せた格差が21世紀には拡大し、19世紀のようになると警鐘を鳴らした。
本書も格差拡大を論じているが、本書の言う19世紀はいくつかの大国の勢力均衡で平和を保つ時代であり、「勢力圏」を争う世界である。それは、小国の命運が大国に握られる弱肉強食の世界とも言える。時代は悪くなると思わざるを得ない。
と言っても、21世紀が19世紀のくり返しになるとは思えない。19世紀には存在しなかった核やSNSやAIは、より危険な要素になるかもしれない。そうでない可能性もある。21世紀の人類には19世紀以降の歴史の記憶が積み上がっているはずであり、その記憶が「いい方向」に作用することを期待するしかない。

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