『飛龍伝』は不思議な芝居 ― 2024年06月28日
先日、下北沢OFF・OFFシアターで『初級革命講座 飛龍伝』を観て、4年前に観た『飛龍伝2020』とはずいぶん違う芝居だと思った。数十年前に読んだはずの戯曲とも印象が異なり、この芝居の戯曲を確認したくなった。
ネット古書店を探索し、次の2冊を入手して読んだ。
『初級革命講座 飛龍伝』(つかこうへい/角川文庫/1977.11)
『飛龍伝90' 殺戮の秋』(つかこうへい/白水社/1990.11)
角川文庫の『初級革命講座 飛龍伝』は戯曲でなく小説だった。ガッカリだ。小説なら『小説 初級革命講座 飛龍伝』としてほしかった。戯曲をベースに膨らませた小説のようだが、先日観た芝居ほど面白くない。ワンパターンの荒唐無稽が白々しい。小説からは芝居の熱気や迫力が伝わってこない。舞台で役者を動かすのと、小説で登場人物を動かすのは、かなり異質の表現or創作なのだと思う。
『飛龍伝90' 殺戮の秋』は1990年に読売文学賞を受賞した戯曲だ。扉に主演の富田靖子の写真が載っている。読み終えて、私が数十年前に読んだのは本書だと思えてきた。図書館で借りたのだと思う。荒唐無稽とパッションがミックスした「つかワールド」が面白い。
「世界革命戦争」を目指した1970年と20年後の1990年が交錯する芝居である。冒頭、全共闘崩れの「電通朝日新聞NHK三菱銀行」勤務を揶揄する台詞や、海江田万里(元慶応フロント)、糸井重里(元法政全共闘)をおちょくるシーンがあり、笑える。と言っても、パロディ劇ではない。架空世界に展開する過剰な愛と闘争の活劇である。
驚いたことに、1990年上演のこの芝居はyoutubeで全編(約2時間半)を観ることができた。画質は悪いが舞台の雰囲気はわかる。戯曲を読んだ後、動画を観て、この芝居を楽しめた。やはり、戯曲を読むだけで舞台の迫力をつかむのは難しい。低画質であっても動画を観ると舞台を想像できる。
動画で観た舞台に、冒頭の海江田・糸井のシーンはない。幕開きは賑やかな盆踊りだ。「君の行く道は、果てしなく遠い~」が陽気な盆踊り曲になっている。ヘルメットに浴衣姿で楽しそうに踊っているのは元全共闘の銀行支店長、元機動隊も登場する――この祝祭的シーンに作者の才を感じた。
舞台は90年の盆踊りから70年の闘争時代に移る。世界革命戦争につき進む40万全共闘と、その弾圧に命をかける機動隊、持ちつ持たれつの両者の謀略と殺戮と愛の活劇が始まる。滑稽な寓話と身につまされる愛憎がないまぜになり、熱気が立ち込める。つかワールドはパッションだと感得した。
ネットで調べると、この芝居はアイドル女優を主役に繰り返し上演されている。羅列すれば、初代・富田靖子(1990年)、2代目・牧瀬里穂(1992年)、3代目・石田ひかり(1994年)、4代目・内田有紀(2001年)、5代目・広末涼子(2003年)、6代目・黒木メイサ(2010年)、7代目・桐谷美玲(2013年)である。そして、私が初めて観た『飛龍伝2020』の菅井友香が8代目になる。
何故、こんなに持続するのか、不思議な芝居である。本来的には全共闘運動とは無関係に思える芝居だが、時代を超えて人を惹きつける何かがあるのだろう。それは、主演女優をカッコよく見せる作劇術かもしれない。
ネット古書店を探索し、次の2冊を入手して読んだ。
『初級革命講座 飛龍伝』(つかこうへい/角川文庫/1977.11)
『飛龍伝90' 殺戮の秋』(つかこうへい/白水社/1990.11)
角川文庫の『初級革命講座 飛龍伝』は戯曲でなく小説だった。ガッカリだ。小説なら『小説 初級革命講座 飛龍伝』としてほしかった。戯曲をベースに膨らませた小説のようだが、先日観た芝居ほど面白くない。ワンパターンの荒唐無稽が白々しい。小説からは芝居の熱気や迫力が伝わってこない。舞台で役者を動かすのと、小説で登場人物を動かすのは、かなり異質の表現or創作なのだと思う。
『飛龍伝90' 殺戮の秋』は1990年に読売文学賞を受賞した戯曲だ。扉に主演の富田靖子の写真が載っている。読み終えて、私が数十年前に読んだのは本書だと思えてきた。図書館で借りたのだと思う。荒唐無稽とパッションがミックスした「つかワールド」が面白い。
「世界革命戦争」を目指した1970年と20年後の1990年が交錯する芝居である。冒頭、全共闘崩れの「電通朝日新聞NHK三菱銀行」勤務を揶揄する台詞や、海江田万里(元慶応フロント)、糸井重里(元法政全共闘)をおちょくるシーンがあり、笑える。と言っても、パロディ劇ではない。架空世界に展開する過剰な愛と闘争の活劇である。
驚いたことに、1990年上演のこの芝居はyoutubeで全編(約2時間半)を観ることができた。画質は悪いが舞台の雰囲気はわかる。戯曲を読んだ後、動画を観て、この芝居を楽しめた。やはり、戯曲を読むだけで舞台の迫力をつかむのは難しい。低画質であっても動画を観ると舞台を想像できる。
動画で観た舞台に、冒頭の海江田・糸井のシーンはない。幕開きは賑やかな盆踊りだ。「君の行く道は、果てしなく遠い~」が陽気な盆踊り曲になっている。ヘルメットに浴衣姿で楽しそうに踊っているのは元全共闘の銀行支店長、元機動隊も登場する――この祝祭的シーンに作者の才を感じた。
舞台は90年の盆踊りから70年の闘争時代に移る。世界革命戦争につき進む40万全共闘と、その弾圧に命をかける機動隊、持ちつ持たれつの両者の謀略と殺戮と愛の活劇が始まる。滑稽な寓話と身につまされる愛憎がないまぜになり、熱気が立ち込める。つかワールドはパッションだと感得した。
ネットで調べると、この芝居はアイドル女優を主役に繰り返し上演されている。羅列すれば、初代・富田靖子(1990年)、2代目・牧瀬里穂(1992年)、3代目・石田ひかり(1994年)、4代目・内田有紀(2001年)、5代目・広末涼子(2003年)、6代目・黒木メイサ(2010年)、7代目・桐谷美玲(2013年)である。そして、私が初めて観た『飛龍伝2020』の菅井友香が8代目になる。
何故、こんなに持続するのか、不思議な芝居である。本来的には全共闘運動とは無関係に思える芝居だが、時代を超えて人を惹きつける何かがあるのだろう。それは、主演女優をカッコよく見せる作劇術かもしれない。
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