大島新監督の『国葬の日』を沖縄で観た2023年10月06日

いま、沖縄に来ている。気ままに過ごす日々のなか、那覇市の桜坂劇場で上映中の『国葬の日』(監督:大島新)を観た。2022年9月27日、安倍元首相国葬があった日に日本各地で取材したドキュメンタリー映画である。大島新監督の映画を観るのは2007年の『シアトリカル』以来だ。

 私は、岸田首相が安倍元首相を国葬にすると決めたとき驚いた。まさか国葬はないだろうと思っていた私の認識は甘かった。世論調査では賛成4割、反対6割だった。元首相暗殺事件から2カ月後に実施された国葬の印象は薄く、その日、自分が何をしていたかも覚えていない。日記帳で確認すると、1年前の9月27日も沖縄に来ていて、のんびりした一日を過ごしていた。

 この映画が2022年9月27日にキャメラをまわした場所は、国葬が行われた東京、元首相の出身地・山口、最期の地・奈良の他に京都、福島、沖縄、北海道、広島、静岡、長崎などだ。各地のさまざまな人々に国葬についてインタビューをしている。賛成の人も反対の人もいるが「どちらかといえば賛成」「どちらかといえば反対」というあいまいで無関心な人が多い。

 この映画によって、映画監督の足立正生がいまだ健在なのを知り、少し驚いた。元首相暗殺事件に取材した映画を短期間で制作し、国葬の日に合わせて渋谷で上映会を開催していたのだ。足立監督に限らず国葬に強く反対を表明する人には高齢者が多い。

 若い人には賛成が多いように思える。強く賛成しているというよりは時代の空気に流されて賛成しているように思えるのは、高齢者である私の偏見だろうか。「大統領やってた人だから」と国葬に賛意を表明する若者もいて、苦笑するより暗然とした。

 映画のラストに流れるテロップによれば、内閣発表による献花した人数(25,889人)は、主催者発表の反対デモ参加者(16,600人)をかなり上回る。どちらもたいした数字ではないとも言えるが、献花した人が意外に多いなとも思う。

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