『文明の道③』で4年前のソグディアナ訪問がよみがえった2023年05月11日

『文明の道③ 海と陸のシルクロード』、「第4集 地中海帝国ローマ 東方への夢」「第5集 シルクロードの謎 隊商の民ソグド」
 20年前のテレビ番組「文明の道」の「第4集 地中海帝国ローマ 東方への夢」「第5集 シルクロードの謎 隊商の民ソグド」をオンデマンドで観て、この番組の書籍版を読んだ。

 『文明の道③ 海と陸のシルクロード』(本村凌二・蔀勇造・吉田豊・他/NHK出版/2003.10)

 本書のテーマはシルクロードである。シルクロードは私の関心分野で、多少の解説書を読んできた。私の知っている事項も多いが新たな知見もあった。

 前半の海のシルクロードは、ローマから見た交易の話である。パルティアの勃興によって陸路の交易が困難になったローマは、紅海からインドへの海路に頼るようになったという話である。海路といっても、まだスエズ運河はないので、エジプトのアレクサンドリアから紅海までは陸路やナイル河を利用する。

 このルートについては、2年前に読んだ『シルクロードとローマ帝国の興亡』(井上文則)で、その重要性を認識した。井上氏の著書は、このルートの目詰まりをローマ帝国滅亡に結びつけていた。20年前の番組はそこまでは踏み込んでいない。

 後半はシルクロードの支配者と言われるソグド人の話である。現在の高校世界史にはソグド人が出てくるそうだが、私が知ったのは5年ほど前だ。それ以来、ソグド人に関する資料をボチボチ集めてきた。4年前にはソグド人の故地ソグディアナへのツアーに参加、ソグド人の古都ペンジケント遺跡を見学した。

 第5集を観て本書を読み、もっと早くこの番組と本書に接していればと思った。

 本書収録の「ソグド人の世界」(吉田豊)という記事がとてもわかりやすい。吉田氏の書いたものはいくつか読んでいるし、講演を聞いたこともある。20年前の本書できちんと基礎知識を得ていれば、より効率的に勉強できただろうと悔やまれた。

 CGによるペンジケント復元にも驚いた。私が訪れたペンジケントは荒涼とした所だった。一見すると何も残っていないように思える遺跡である。CGは、そん遺跡に遠い昔の都市が賑わっている姿を重ねて見せてくれる。息をのむ思いがした。現地に行く前に観ておきたかった。

 番組にはエルミタージュ美術館のマルシャークという研究者が登場し、ペンジケント遺跡について語る。この場面にも感動した。

 無人のペンジケント遺跡の入口には、白い柵で囲った墓があった。この遺跡を研究したロシアの考古学者の墓だと聞き、写真に撮った。後日、『エルミタージュ美術館』という本に収録されているソグドに関する記事を読んでいて、その筆者がマルシャークという名で、あの墓の主と合致すると気づいた。そして、この人の名が記憶に残った。

 テレビ画面に、名前を知っているだけの学者が不意打ちのように動画で現れたときは驚いた。彼方の地の墓にひっそり眠っている人が、目の前で穏やかに話している姿に遭遇し、古い知人に出会った気分になった。

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