シアターミラノ座の『少女都市からの呼び声』はメルヘン2023年07月21日

 歌舞伎町タワーのシアターミラノ座で『少女都市からの呼び声』(作:唐十郎、演出:金守珍、出演:安田章大、咲姫みゆ、三宅弘城、六平直政、風間杜夫、他)を観た。先月、花園神社境内の紫テントで新宿梁山泊の同じ芝居を観たばかりだ。どちらも金守珍演出の連続公演だが、テイストはかなり異なる。

 テントと大劇場では、役者がかなり入れ替わっている。メインの安田章大(関ジャニ∞)、咲姫みゆ(元・宝塚)、三宅弘城(ナイロン100℃)は、私には未知の役者だが、新鮮な唐十郎世界を感じた。好演だった。テントで主役の六平直政は存在感ある脇を奔放に演じていた。風間杜夫はテントと同じ役でカラオケも堂々と披露した。

 大劇場では演出を変えて、プロジェクション・マッピングを使うだろうと予想した。予想通りだった。プロジェクション・マッピングの効果は素晴らしい。オテナの塔やガラスの都市を視覚で捉えることができる。演劇において、この技法をどこまで使っていいものか、演出家は悩むのではないかと思う。

 大劇場の舞台ではテント芝居の猥雑さが軽減する。暗黒舞踏的パフォーマンスはない。『少女都市からの呼び声』がメルヘンに感じられた。そんなバージョンも成り立つのが軽い衝撃だった。

 先月のテント芝居との一番大きい違いは客層である。女性客(歌舞伎よりは若い)が圧倒的に多い。私のように両方を観ている人も少なくないだろうが、やはりそれは少数派に思えた。

 公演パンフで主演・安田章大は次のように語っている。

 「“現代の伝統芸能”としての唐さんの芝居を、次の世代に繋いでいけたらと思っています。今回はアングラと呼ばれる演劇をより間口の広い方たちに伝えられるチャンスだと思います」

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