『国語事件殺人辞典』は熱気が伝わってくる芝居 ― 2026年03月16日
紀伊國屋サザンシアターでこまつ座公演『国語事件殺人辞典』(作:井上ひさし/演出:大河内直子/出演:筧利夫、諏訪珠理、他)を観た。
1982年、小沢昭一の劇団・しゃぼん玉座の旗揚げ公演のために井上ひさし書いた作品である。1982年の初演以降上演がなく、44年ぶりの上演だそうだ。観劇前に戯曲を読みたいと思ったが入手できなかった。
全2幕、上演時間2時間30分(休憩時間除く)の迫力ある舞台だった。言葉をテーマにした芝居で、1幕と2幕で趣が転換するのが面白い。
主人公・花見万太郎(筧利夫)は無名の国語学者である。正しくて美しい日本語にこだわって独力で国語辞典の原稿を書き上げている。6万枚のカードから成る6万語の辞典原稿はトランク(鞄)に詰まっている。そのトランクを抱えて万太郎に付き従っているのは弟子の山田青年(諏訪珠理)である。
チラシに「井上ひさし版ドン・キホーテ」とあるように一種の遍歴譚である。万太郎と山田青年は、国語辞典の出版に関わる大物国語学者や出版社の策謀・欺瞞から逃れて、言葉のアレコレをめぐる遍歴を始める。言葉や国語辞典へのこだわりが強い井上ひさしらしい着眼点だと思った。
言葉に取り憑かれた人間を主人公にした言葉氾濫蘊蓄コメディーかと思いながら1幕目を観ていたが、2幕目になると管理社会や抑圧者を糾弾するメッセージ性の強い芝居へと展開して行った。
2幕目に言葉を預かる質屋が登場する。質草になるのは否定語である。生活に窮して否定語を預けて金に替えると、「いいえ」や「ノー」と言えなくなる。お伽話のような設定が不気味な世界に転回し、芝居の熱量が上がる。44年前の熱気がよみがえってくるような気がした。
1982年、小沢昭一の劇団・しゃぼん玉座の旗揚げ公演のために井上ひさし書いた作品である。1982年の初演以降上演がなく、44年ぶりの上演だそうだ。観劇前に戯曲を読みたいと思ったが入手できなかった。
全2幕、上演時間2時間30分(休憩時間除く)の迫力ある舞台だった。言葉をテーマにした芝居で、1幕と2幕で趣が転換するのが面白い。
主人公・花見万太郎(筧利夫)は無名の国語学者である。正しくて美しい日本語にこだわって独力で国語辞典の原稿を書き上げている。6万枚のカードから成る6万語の辞典原稿はトランク(鞄)に詰まっている。そのトランクを抱えて万太郎に付き従っているのは弟子の山田青年(諏訪珠理)である。
チラシに「井上ひさし版ドン・キホーテ」とあるように一種の遍歴譚である。万太郎と山田青年は、国語辞典の出版に関わる大物国語学者や出版社の策謀・欺瞞から逃れて、言葉のアレコレをめぐる遍歴を始める。言葉や国語辞典へのこだわりが強い井上ひさしらしい着眼点だと思った。
言葉に取り憑かれた人間を主人公にした言葉氾濫蘊蓄コメディーかと思いながら1幕目を観ていたが、2幕目になると管理社会や抑圧者を糾弾するメッセージ性の強い芝居へと展開して行った。
2幕目に言葉を預かる質屋が登場する。質草になるのは否定語である。生活に窮して否定語を預けて金に替えると、「いいえ」や「ノー」と言えなくなる。お伽話のような設定が不気味な世界に転回し、芝居の熱量が上がる。44年前の熱気がよみがえってくるような気がした。

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