『義経千本桜』のAプロは若手俳優が活躍2025年10月04日

 10月の歌舞伎座は3部制で『義経千本桜』の通し狂言。演目は以下の通りである。

 第1部
  鳥居前
  渡海屋
  大物浦
 第2部
  木の実
  小金吾討死
  すし屋
 第3部
  吉野山
  川連法眼館

 できれば全段を観たいと思ったが、都合がつかず第1部と第2部を観た。今回の公演はAプロとBプロに分かれていて、第2部のBプロでは仁左衛門がいがみの権太を演ずる。その公演は即完売で、チケットを取れなかった。私が観たのはAプロである。

 私は『義経千本桜』の各段を何度か観ているはずだが記録を整理していないので、詳しくはわからない。12年前の通し狂言で昼の部、9年前の通し狂言で第3部を観ているのはメモで判明した。後者では狐忠信を演じる猿之助(4代目)の宙乗りを観た。他にもいくつか観ていると思う。菊五郎の知盛や狐忠信も記憶にある。

 今回の第1部、第2部では若手の活躍が目立った。鳥居前の佐藤忠信(源九郎狐)を演ずるのは21歳の市川團子である。立派だった。第3部の宙乗りも観たかったが、いずれまた機会があるだろう。知盛を演じた中村隼人は31歳。見栄えがよく堂々としていた。歌舞伎はヴェテランの老優が若い役を自然に演じることができる不思議な世界だ。今回の公演で、若い役者が年輩の役を演じることも可能なのだとあらためて認識した。ヴェテランと若手が絡み合いながら世代交代していくのだろう。

 いがみの権太を演じた尾上松緑は若い役者だと思っていたが、今回はどっしりした年輩役者に感じられた。