『北北西に進路を取れ』の「北北西」の謎2023年11月26日

 ヒッチコックの有名映画はいくつか観ているが、1959年の『北北西に進路を取れ』は未見だった。タイトルは航海映画を思わせるのに、映画のなかに「北北西」が出てこないとは聞いていた。いずれ観ようと、テレビ放映を録画していたのを、ついに観た(録画したまま未見の映画は数十本、いつになったら観るのか自分でも不明)。

 別人に間違えられた広告マンが謎の組織に追いかけられる話である。74年前の映画だから冗長に感じる部分もあるが、飽きることなく楽しめた。往年の米国の雰囲気を感得できるのがうれしい。

 問題はタイトルである。『謎解き「ハムレット」』という本には次の記述がある。

 「ハムレットが「俺の気が狂うのは北北西の風が吹くときだけだ。南風なら、鷹の子と糸鋸の区別はつく」といったわけのわからない台詞を言うのも、ギルデンスターンらを煙に巻くための佯狂だ。この台詞から題名を借りたアルフレッド・ヒッチコック監督の映画『北北西に進路を取れ』は、ある日突然ひとりの男が不可解な事件に巻きこまれてしまう不条理を描くものだが、この映画と同様に、狂っているのは主人公ではなくて、彼の陥った状況のほうかもしれない。」

 ネットで調べると、このタイトルがハムレット由来というのはひとつの説にすぎないようだ。

 映画の原題は"North by Northwest"、実在しない方位だそうだ。北北西は"North Northwest"である。ハムレットも"North Northwest"と言っている。byを使った"Northwest by North"という方位はあり、これは北西と北北西の間の方向になる。

 ヒッチコックは、"North by Northwest"がコンパスに実在しないことをふまえて「タイトルがこの映画の全体を象徴している」と述べているが、公開後の後付けの弁の可能性がある。

 このタイトルは"North Northwest"のつもりで間違えたかのだろうか。何らかの効果を考えてあえて"North by Northwest"としたのだろうか。ネイティブの意見を聞いてみたい。

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