『永遠の都ローマ展』をゆったり見学2023年09月23日

 東京都美術館で開催中の『永遠の都ローマ展』に行った。思ったほどは混んでなく、ゆったりした気分で見学できた。

 ローマのカピトリーノ美術館のコレクションの展示である。目玉は「カピトリーノのヴィーナス」だ。私は10年ほど前に1回だけローマ観光をし、この美術館の前までは行った。だが、中には入っていない。

 カピトリーノ美術館はローマ中心部のカピトリーノの丘にあり、この名はキャピタル(首都)の語源になった。キリスト教を容認し、コンスタンティノープルを造営したコンスタンティヌス大帝は、何度かローマを訪問しているが、カピトリーノの丘には決して足を踏み入れなかった(理由には諸説)。

 そのコンスタンティヌス大帝の巨大な頭像(約1.8M)が目を引いた。この像がカピトリーノ美術館にあることに多少の皮肉も感じた。レプリカだが十分に迫力がある。

 私が注目したのは、トラヤヌス帝記念柱の浮彫の石膏複製である。現物の記念柱の浮彫を間近に見るのは難しい。複製であっても、原寸の浮彫作品を目の前で見ると感動する。この石膏複製は19世紀にナポレオン3世が作らせたそうだ。

 皇帝たちの大理石肖像も興味深い。カエサル、アウグストゥス帝、トラヤヌス帝、ハドリアヌス帝、カラカラ帝らの胸像が展示されている。彼らの顔と対面していると、ローマ史のあれこれが、時間を超えて少しだけ具体的にイメージできるような気がしてくる。