パルコ劇場の『桜の園』はユニークな舞台だった2023年08月14日

 パルコ劇場でチェーホフの『桜の園』(演出:ショーン・ホームズ、出演:原田美枝子、八嶋智人、他)を観た。

 没落しているのに金銭をバラまく習慣をやめられないラネーフスカヤ夫人の話は、子供の頃から聞いていた。その頃、テレビで舞台中継を観たような気もする。戯曲は学生時代に読んだ。実際の舞台を観たのは2015年の公演(出演:田中裕子、柄本佑)が初めてで、今回が2回目である。

 演出は、昨年観た『セールスマンの死』と同じイギリス人演出家だ。あの舞台がユニークだったので今回も期待した。

 舞台の上には巨大な四角い筒が横たわっている。その巨大筒は何本かのロープで吊られている。今にも擦り切れそうな危うげで粗末ななロープである。この筒が吊り上げられていき、中から登場人物が現れて開幕する。

 芝居は宙吊りの巨大筒の下で進行する。ダモクレスの剣である。そしてラスト、屋敷に取り残されて横たわったた老僕(フィールス:村井國夫)の上に巨大筒がゆっくり降りてきて終幕になる。人の世の転変を俯瞰するような舞台だ。

 舞踏会のシーンが奇抜な仮装ドンチャン乱舞になっているのに驚いた。家庭教師のシャルロッタ(川上友里)は破天荒だ。『桜の園』と言えば、遠くから聞こえる斧の音が哀切だが、この舞台ではチェンソーの騒音になっている。登場人物たちの言動の多くは、よく考えれば滑稽である。未来を語る大学生の言説も幼稚な夢想に聞こえる。

 『桜の園』は苦い喜劇だと思った。

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