講義の実況中継『社会学史』は面白いが難解 ― 2023年11月17日
4年前に新刊を購入、いずれ読もうと思いつつ時間が経過した次の新書をやっと読了した。
『社会学史』(大澤真幸/講談社現代新書)
通常の新書2冊分の630頁、その厚さにたじろぐが、読み始めると引き込まれた。講談社の会議室で数人の編集者相手に実施した講義をまとめた「講義の実況中継」本なので読みやすい。とは言っても抽象的・学術的で理解できない難解な箇所も多く、頭が疲れた。先人の業績への大澤先生のツッコミが面白い。
私が大澤真幸氏の著作に初めて接したのは13年前の『量子の社会哲学』 である。この奇書にはぶったまげた。社会学門外漢の私は、社会学者怖るべしの感慨を抱いた。その後、『不可能性の時代』 など何冊かを読み、この人の本は「難しくてよくわからないのに、何故か面白い」と思った。本書も同じだ。
社会学の歴史を語る講義だが、社会学の入門書に近い。冒頭で「社会学の歴史は、それ自体が一つの社会学になる」と述べている。ナルホドと思った。社会学を志す学生には刺激的な本だと思う。私のような高齢者は、大澤氏の包丁さばきに「ヘェー」と感心するだけだ。その先に進む気力はない。
大澤氏は、社会学の主題は「社会秩序はいかにして可能か」を問うことだとし、本書は一貫してこの主題を巡って解説している。本書の目次概略は次の通りだ。
Ⅰ 社会学の誕生――近代の自己意識として
1・古代の社会理論 アリストテレス
2・社会契約の思想 社会学前夜
3・社会科学の誕生
4・マルクス――宗教としての資本主義
Ⅱ 社会の発見
1・フロイト 無意識の発見
2・デュルケーム 社会の発見
3・ジンメル 相互行為としての社会
4・ヴェーバー 合理化の逆説
Ⅲ システムと意味
1・パーソンズ 機能主義の定式化
2・〈意味〉の社会学
3・意味構成的なシステムの理論 ルーマンとフーコー
4・社会学の未来に向けて
概ね時系列に話を進めつつ、考察を深化させていく展開になっている。頁が進むにつれて難解になり、私の頭ではついて行けず読み飛ばした所もある。
社会学史だから多くの学者が登場する。と言っても、網羅的ではなくポイントを絞って解説し、マルクスやフロイトのように社会学者とな見なされない人物にもかなりのページを割いている。本書が肖像つきで紹介している人物は次の20人である。
グロティウス、パスカル、ホッブス、ロック、ルソー、アダム・スミス、コント、スペンサー、マルクス、フロイト、デュルケーム、ジンメル、ヴェーバー、パーソンズ、レヴィ=ストロース、デリダ、ブルデュー、ハーバーマス、ルーマン、フーコー
私が名前も知らなかった人物が3割(6人)、多少なりとも著作に触れたことがあるのは3人だけ。そんな私にとって本書が難物なのはいたしかたない。
肖像画が最初に登場するグロティウスは、先日読んだ『物語オランダの歴史』 に登場する興味深い人物である。かの本には肖像が載ってなかったので、本書で尊顔に触れてうれしかった。本書の理解には関わりないことである。
『社会学史』(大澤真幸/講談社現代新書)
通常の新書2冊分の630頁、その厚さにたじろぐが、読み始めると引き込まれた。講談社の会議室で数人の編集者相手に実施した講義をまとめた「講義の実況中継」本なので読みやすい。とは言っても抽象的・学術的で理解できない難解な箇所も多く、頭が疲れた。先人の業績への大澤先生のツッコミが面白い。
私が大澤真幸氏の著作に初めて接したのは13年前の『量子の社会哲学』 である。この奇書にはぶったまげた。社会学門外漢の私は、社会学者怖るべしの感慨を抱いた。その後、『不可能性の時代』 など何冊かを読み、この人の本は「難しくてよくわからないのに、何故か面白い」と思った。本書も同じだ。
社会学の歴史を語る講義だが、社会学の入門書に近い。冒頭で「社会学の歴史は、それ自体が一つの社会学になる」と述べている。ナルホドと思った。社会学を志す学生には刺激的な本だと思う。私のような高齢者は、大澤氏の包丁さばきに「ヘェー」と感心するだけだ。その先に進む気力はない。
大澤氏は、社会学の主題は「社会秩序はいかにして可能か」を問うことだとし、本書は一貫してこの主題を巡って解説している。本書の目次概略は次の通りだ。
Ⅰ 社会学の誕生――近代の自己意識として
1・古代の社会理論 アリストテレス
2・社会契約の思想 社会学前夜
3・社会科学の誕生
4・マルクス――宗教としての資本主義
Ⅱ 社会の発見
1・フロイト 無意識の発見
2・デュルケーム 社会の発見
3・ジンメル 相互行為としての社会
4・ヴェーバー 合理化の逆説
Ⅲ システムと意味
1・パーソンズ 機能主義の定式化
2・〈意味〉の社会学
3・意味構成的なシステムの理論 ルーマンとフーコー
4・社会学の未来に向けて
概ね時系列に話を進めつつ、考察を深化させていく展開になっている。頁が進むにつれて難解になり、私の頭ではついて行けず読み飛ばした所もある。
社会学史だから多くの学者が登場する。と言っても、網羅的ではなくポイントを絞って解説し、マルクスやフロイトのように社会学者とな見なされない人物にもかなりのページを割いている。本書が肖像つきで紹介している人物は次の20人である。
グロティウス、パスカル、ホッブス、ロック、ルソー、アダム・スミス、コント、スペンサー、マルクス、フロイト、デュルケーム、ジンメル、ヴェーバー、パーソンズ、レヴィ=ストロース、デリダ、ブルデュー、ハーバーマス、ルーマン、フーコー
私が名前も知らなかった人物が3割(6人)、多少なりとも著作に触れたことがあるのは3人だけ。そんな私にとって本書が難物なのはいたしかたない。
肖像画が最初に登場するグロティウスは、先日読んだ『物語オランダの歴史』 に登場する興味深い人物である。かの本には肖像が載ってなかったので、本書で尊顔に触れてうれしかった。本書の理解には関わりないことである。
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