旧約聖書を読むのはタイヘンだ2026年03月21日

 ある本を読んでいて「うずらとマナ」が出てきた。ネット検索で旧約聖書の『出エジプト記』に出てくる奇跡の食物だと判明した。旧約の『創世記』と『出エジプト記』はずいぶん昔に読んだと思うが内容は失念している。2年前に木崎さと子の『聖書物語』や月本昭男の『物語としての旧約聖書』も読んだ筈だが、ほとんど頭に残っていない。

「旧約聖書を知っていますか」と問われても「はい」とは言えない。で、次の2冊を続けて読んだ。

 『旧約聖書を知っていますか』(阿刀田高/新潮文庫)
 『ドレの旧約聖書』(訳・構成:谷口絵里也/装画:ギュスターヴ・ドレ/宝島社)

 古典を軽妙に面白く紹介する阿刀田氏の力量は、以前に読んだ『ギリシア神話を知っていますか』『やさしいダンテ〈神曲〉』『ホメロスを楽しむために』でよく承知している。『旧約聖書を知っていますか』も期待に違わず読みやすく、頭に入りやすかった。

  『ドレの旧約聖書』は約半分のページがドレの銅版画で、文章部分は旧約聖書の要約である。挿絵というイメージによって旧約の場面のいくつかを多少は頭に定着できたかもしれない。

 この2冊を読了して感じたのは、旧約聖書のゴチャゴチャした単調さである。楽園追放、ノアの方船、バベルの塔までの「神話」は面白いし、アブラハム、イサクに始まってモーセを経てダビデやソロモンに至るまでは、建国物語として何とか楽しめる。その後がゴチャゴチャしていて容易に頭に入って来ない。

 『ドレの旧約聖書』は、さほど文章が多いわけではないが、後半になると読み続けるのが苦痛になった。「聖書」と言えばアリガタくて崇高な教えの書のイメージもあるが、旧約聖書は嫉妬深いと神とユダヤの民をめぐる血生臭い歴史説話である。似たような話のくり返しも多い。多少の史実を反映しているのだろうが、史書とは思えない。身を入れて読み続けるのはタイヘンである。

 そんな私は、阿刀田氏の次に述懐に納得し、安心した。

 「旧約聖書について言えば、簡単に読めるものではない。研究者でもない限り、全巻をきちんと読むことは不可能である。断言してもよい。普通のサラリーマンが信仰もないのに、電車の中で旧約聖書を読んでいたら、
  ――狂ったのと、ちがうか――
  と、私はそう思いたい。理想は理想として、この古典については読めないのが普通である。」

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