『ネタニヤフ調書』を観て暗澹たる気分2026年01月20日

 渋谷のシアター・イメージフォーラムで『ネタニヤフ調書:汚職と戦争』(製作総指揮:アレックス・ギブニー、監督・製作:アレクシス・ブルーム)を観た。ネタニヤフ首相の汚職事件やガザ攻撃に関するドキュメンタリー映画である。製作は「イスラエル・アメリカ」となっているがイスラエルでは上映禁止、アメリカでも限られて形でしか公開されていない。

 私は、ネタニヤフ首相が自身の権力維持のために極右政党を連立してパレスチナ攻撃を続けているとの話は何となく知っていたが、イスラエルの状況をさほど知っているわけではない。この映画に接するまで、彼が汚職の裁判で起訴され、その裁判が継続中だとは知らなかった。

 この映画は、贈収賄事件に関わったネタニヤフを始め多くの関係者への取り調べ映像で構成されている。流出映像である。映画製作者に、ある「情報源」からもたらされたものだ。取り調べの様子を記録した映像は約1000時間だという。

 ネタニヤフの取り調べは彼のオフィスで行われたそうだ。背景の中東地図やデスク回りの品々が興味深い。他の関係者の取り調べ映像は警察の取り調べ室のように見える。いずれも、一般の目に触れることを想定していない様子の映像なので生々しい。贈賄側として取り調べられた人物の一人はハリウッドの大物プロデューサーである。この映画の上映を阻止したくなる関係者の気持ちがわかる。

 この映画のメッセージは明快だ。ネタニヤフが極右政党と組んで戦争を続けているのは、自身の延命のためである。戦時下では首相への裁判は延期されている。裁判になればネタニヤフは刑務所に入ることになるかもしれない。それを避けるため、司法の弱体化を画策すると同時に戦争を継続しなければならない。極右は、国連が可決した二国(イスラエルとパレスチナ)建国を認めず、イスラエルのみの一国を目指している。極右と連立したニタニヤフの戦争はパレスチナが完全に消滅するまで終わらない……この映画は、そんな状況を警告している。

 ネタニヤフは困った人物だが、それを取り調べることが可能な国家体制に少し驚いた。当たり前のことが通用しなくなりつつある世界のなかで、多少の希望に思えた。

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