『泣くロミオと怒るジュリエット 2025』は男優が女性を熱演2025年07月14日

 THEATER MILANO-Zaで『泣くロミオと怒るジュリエット 2025』(作・演出:鄭義信、出演:桐山照史、柄本時生、他)を観た。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を大胆に翻案した関西弁の芝居で、役者はすべて男性だ。この芝居の初演は5年前だが、コロナのために途中で公演中止になったそうだ。

 終戦直後を思わせる関西の工場街の煤煙に覆われた街が舞台である。街の名はヴェローナ、原作と同じだ。シェイクスピアは「花のヴェローナ」と書いたが、この芝居では「煤煙のヴェローナ」だ。登場人物の名前も原作通りである。この街には二つの愚連隊「モンターギュ」と「キャビレット」がある。モンターギュは在日コリアン系の愚連隊、キャビレットは軍隊帰りの傷痍軍人が仕切る愚連隊である。

 工場街の関西弁の愚連隊が互いをカタカナ名で呼び合う違和感が面白い。『ウエスト・サイド物語』を戦後の関西に置き換えた趣もあるが、鄭義信がブレヒトを翻案した『てなもんや三文オペラ』に似た世界だと感じた。

 ジュリエットを演じる柄本時生と、ジュリエットの兄の内縁の妻ソフィアを演じる八嶋智人の女ぶりに圧倒された。歌舞伎の女形とはまったく違うが、柄本時生は少しエキセントリックな娘、八嶋智人は関西のオバチャンに成り切っていた。

 屋台の焼き鳥屋のロミオ(桐山照史)は吃りで引っ込み思案の若者である。田舎から出てきたジュリエットは不細工なブスという設定だ。そんな二人だが、原作通りに一晩で恋に落ち、原作通りの展開になる。二人が恋に落ちていく姿に違和感はなかった。原作の内容が頭に沈殿しているので、自然な展開と感じてしまうのかもしれない。

 ロミオとジュリエットが死んだ後のラストシーンはシェイクスピアから離れ、鄭義信のメッセージ性の強い現代的な情景になる。能天気な和解からは遠いシビアな現実世界を反映させている。

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