俳優座劇場さよなら公演『嵐 THE TEMPEST』の主役は舞台空間か ― 2025年04月14日
「さよなら俳優座劇場最終公演」と銘打った『嵐 THE TEMPEST』(作:シェイクスピア、翻訳:小田島創志、演出:小笠原響、出演:外山誠二、平体まひろ、あんどうさくら、他)を観た。
六本木の俳優座劇場が2025年4月末で閉館になる。この劇場に特段の思い入れはないが、最終公演と聞いて足を運ぶ気になった。私は、半世紀以上昔の学生時代に何度かこの劇場に行った。最後に観たのは、俳優座の芝居ではなく岩淵達治演出のブレヒト劇『バール』だった。
久方ぶりに俳優座劇場に入り、こんな劇場だったかなあと懐かしみながらあたりを見回した。しばらくして、この建物は1980年に改築したと知った。私が観劇したのは1970年頃だから改築前だ。この古びた劇場に入るのは今回が最初で最後だったのだ――と思ったのだが、違うかもしれない。私は1990年代に何度か青年座の芝居を観ている。あれは俳優座劇場だったような気もする。わが記憶はあてにならない。
株式会社俳優座劇場は劇団俳優座とは別組織である。俳優座劇場プロデュースの今回の公演には様々な劇団の役者が出演している。
私はシェイクスピアの『嵐』を観るのは初めてである。事前に手元の福田恒存訳の戯曲を読んだ。今回の翻訳は、シェイクスピアの翻訳初挑戦の33歳の小田島創志である。彼の父は小田島恒志、祖父はあの小田島雄志だ。文学に一子相伝などないだろうが、伝統芸能のようにも見えて面白い。
戯曲を一読したとき、他愛ない古典コメディに思えた。陰謀によって離島に流された領主(ミラノ公プロスペロー)が魔法を修得して復讐を果たす話である。妖精を使って嵐を起こし、悪人たちの乗った船を難破させて離島に導く。プロスペローが妖精を駆使して怪現象などで人々を自在に操るところに面白さがある。
戯曲を読んだ後、ヘンな終わり方だと思った。プロスペローは最後に魔法のマントを手放し、元のフツーの人に戻り、皆とともに島を離れる船に乗る。それで大丈夫なのかと、気になった。許した敵方がまた陰謀を図るのではと心配だ。
舞台を観て、このコメディの結末は「赦し」を強調していると感じた。祝祭劇に近い。だから、さよなら公演にふさわしいのだろう。俳優座劇場70年の歴史のなかで『嵐』の上演は今回が初めてだそうだ。
舞台装置はいたってシンプルだった。素の舞台空間に、大道具で使用する平台(教卓みたいな台)や箱馬(踏み台みたいな箱)があるだけだ。木製の平台や箱馬には「俳優座劇場」の刻印がある。これらの道具と空間が、さよなら公演のもうひとつの主役だったようだ。
六本木の俳優座劇場が2025年4月末で閉館になる。この劇場に特段の思い入れはないが、最終公演と聞いて足を運ぶ気になった。私は、半世紀以上昔の学生時代に何度かこの劇場に行った。最後に観たのは、俳優座の芝居ではなく岩淵達治演出のブレヒト劇『バール』だった。
久方ぶりに俳優座劇場に入り、こんな劇場だったかなあと懐かしみながらあたりを見回した。しばらくして、この建物は1980年に改築したと知った。私が観劇したのは1970年頃だから改築前だ。この古びた劇場に入るのは今回が最初で最後だったのだ――と思ったのだが、違うかもしれない。私は1990年代に何度か青年座の芝居を観ている。あれは俳優座劇場だったような気もする。わが記憶はあてにならない。
株式会社俳優座劇場は劇団俳優座とは別組織である。俳優座劇場プロデュースの今回の公演には様々な劇団の役者が出演している。
私はシェイクスピアの『嵐』を観るのは初めてである。事前に手元の福田恒存訳の戯曲を読んだ。今回の翻訳は、シェイクスピアの翻訳初挑戦の33歳の小田島創志である。彼の父は小田島恒志、祖父はあの小田島雄志だ。文学に一子相伝などないだろうが、伝統芸能のようにも見えて面白い。
戯曲を一読したとき、他愛ない古典コメディに思えた。陰謀によって離島に流された領主(ミラノ公プロスペロー)が魔法を修得して復讐を果たす話である。妖精を使って嵐を起こし、悪人たちの乗った船を難破させて離島に導く。プロスペローが妖精を駆使して怪現象などで人々を自在に操るところに面白さがある。
戯曲を読んだ後、ヘンな終わり方だと思った。プロスペローは最後に魔法のマントを手放し、元のフツーの人に戻り、皆とともに島を離れる船に乗る。それで大丈夫なのかと、気になった。許した敵方がまた陰謀を図るのではと心配だ。
舞台を観て、このコメディの結末は「赦し」を強調していると感じた。祝祭劇に近い。だから、さよなら公演にふさわしいのだろう。俳優座劇場70年の歴史のなかで『嵐』の上演は今回が初めてだそうだ。
舞台装置はいたってシンプルだった。素の舞台空間に、大道具で使用する平台(教卓みたいな台)や箱馬(踏み台みたいな箱)があるだけだ。木製の平台や箱馬には「俳優座劇場」の刻印がある。これらの道具と空間が、さよなら公演のもうひとつの主役だったようだ。

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