さらに、ナポレオン本を読んだ ― 2023年12月24日
岩波新書の『ナポレオン』
に続いて次の2冊を読んだ。
『ナポレオン:英雄か独裁者か』(上垣豊/世界史リブレット人/山川出版社)
『図説ナポレオン:政治と戦争』(松蔦明男/ふくろうの本/河出書房新社)
前者リブレットはナポレオンの生涯を論評を交えつつ紹介していて読みやすい。ナポレオンには戦さ上手の将軍というイメージがあるが、ほとんど負けに近い戦さも多く、ブリューメル18日のクーデターもあやうく失敗するところだった。自己演出力に長けた強運の人だったようだ。
ロゼッタ・ストーンと言えばナポレオンである。それがなぜ大英博物館にあるのか不思議だったが、このリブレットで疑問が解消した。ナポレオンの脱出でエジプトに取り残された遠征軍が撤退したため、イギリス軍に奪われたのだ。
このリブレットで興味深かったのは、独裁と共和政が矛盾するとは考えられていなかったという指摘である。共和政の古代ローマにも独裁官制度があった。ナポレオンが皇帝になったときの憲法には「共和国政府はフランス人の皇帝という称号をもつ皇帝に託される」とあるそうだ。帝政の共和国だったのだ!?
後者の図説は写真の多い本だが、思いのほか歯ごたえがあった。評伝スタイルではなく、「ナポレオンの人物像」「ナポレオンと政治」「ナポレオンとフランス経済」「ナポレオンと宗教」「ナポレオンと戦争」などテーマごとに解説している。ナポレオンを社会史で捉える試みのようだ。従来の考え方に対して最近の学説を紹介するというスタイルが多く、やや専門的である。
ナポレオンが大陸封鎖をしても、イギリスの貴族はフランス産の高級ワインを飲んでいたという話を初めて知った。イギリス貴族とフランス醸造業者の利害が一致し、中立国商船を使った貿易が続いていたのだ。
ナポレオンがジョセフィーヌを離婚し、オーストリアの公女マリア・ルイサと再婚した件については、ナポレオンの威力に圧されてハプスブルク家が人身御供を出したとされてきたそうだ。だが本書(図説)は、結婚政策で知られるハプスブルク外交のナポレオン弱体化をねらった策だったとの見方を紹介している。面白い。
『ナポレオン:英雄か独裁者か』(上垣豊/世界史リブレット人/山川出版社)
『図説ナポレオン:政治と戦争』(松蔦明男/ふくろうの本/河出書房新社)
前者リブレットはナポレオンの生涯を論評を交えつつ紹介していて読みやすい。ナポレオンには戦さ上手の将軍というイメージがあるが、ほとんど負けに近い戦さも多く、ブリューメル18日のクーデターもあやうく失敗するところだった。自己演出力に長けた強運の人だったようだ。
ロゼッタ・ストーンと言えばナポレオンである。それがなぜ大英博物館にあるのか不思議だったが、このリブレットで疑問が解消した。ナポレオンの脱出でエジプトに取り残された遠征軍が撤退したため、イギリス軍に奪われたのだ。
このリブレットで興味深かったのは、独裁と共和政が矛盾するとは考えられていなかったという指摘である。共和政の古代ローマにも独裁官制度があった。ナポレオンが皇帝になったときの憲法には「共和国政府はフランス人の皇帝という称号をもつ皇帝に託される」とあるそうだ。帝政の共和国だったのだ!?
後者の図説は写真の多い本だが、思いのほか歯ごたえがあった。評伝スタイルではなく、「ナポレオンの人物像」「ナポレオンと政治」「ナポレオンとフランス経済」「ナポレオンと宗教」「ナポレオンと戦争」などテーマごとに解説している。ナポレオンを社会史で捉える試みのようだ。従来の考え方に対して最近の学説を紹介するというスタイルが多く、やや専門的である。
ナポレオンが大陸封鎖をしても、イギリスの貴族はフランス産の高級ワインを飲んでいたという話を初めて知った。イギリス貴族とフランス醸造業者の利害が一致し、中立国商船を使った貿易が続いていたのだ。
ナポレオンがジョセフィーヌを離婚し、オーストリアの公女マリア・ルイサと再婚した件については、ナポレオンの威力に圧されてハプスブルク家が人身御供を出したとされてきたそうだ。だが本書(図説)は、結婚政策で知られるハプスブルク外交のナポレオン弱体化をねらった策だったとの見方を紹介している。面白い。

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