SF第1世代作家の豊田有恒氏逝去2023年12月06日

 本日(2023.12.6)の朝刊にSF作家・豊田有恒氏の訃報が載っていた。行年85歳。私が高校生の頃から親しんでいたSF第1世代の作家だ。私にとってのSF作家は小松左京、星新一、筒井康隆、光瀬龍、眉村卓、豊田有恒、平井和正、半村良ら第1世代の作家だ。筒井康隆氏以外はみな逝ってしまった。

 豊田氏の訃報を見て、筒井康隆氏の最新刊『カーテンコール』刊行後でよかったと思った。この掌編集収録の「プレイバック」(初出は『新潮』2022.2)は検査入院中の作者の元を小説の主人公らが次々に訪れる話である。最後に、小松左京や星新一をはじめ亡くなったSF作家連中がどやどやと押しかけてくる。その中ににひとりだけ存命中の豊田有恒氏が混ざっている。その様子を次のように描写している。

 「彼は自分がどうしてここにいるのかわからぬという戸惑いを表情に漂わせて周囲を見まわしている。」

 この一節を読んで、私は笑ってしまった。

 私は、豊田氏の初期作品は読んでいるが、その後、継続的に読んできたとは言えない。だが、4年前に出た『日本SF誕生』や『小松左京マガジン』に連載(2011~2013年、10回)した「メタボ解消に大学教授」などの晩年のエッセイを楽しく読んだ。

 また、今年の夏に東京国立博物館で開催された『特別展古代メキシコ』に行った直後、久々に初期作品の『アステカに吹く風』を再読した。