本村凌二氏のローマ史エッセイ2冊を読んだ2022年03月28日

『ローマ人に学ぶ』(本村凌二/集英社新書)、『古代ローマとの対話:「歴史感」のすすめ』(本村凌二/岩波現代新書)
 ローマ史家・本村凌二氏の歴史エッセイ2冊を続けて読んだ。

 『ローマ人に学ぶ』(本村凌二/集英社新書/2012.1)
 『古代ローマとの対話:「歴史感」のすすめ』(本村凌二/岩波現代新書/2012/6)

 2冊とも10年前の刊行である。いずれも新聞や雑誌に執筆したエッセイをまとめたもので、読みやすくて面白い。本村氏の本は何冊か読んでいるので、デジャブの話題も多い。歴史の本はくり返し読まなければ頭に残らないので、同じ著者の類書で多少の重複感を得るのは記憶の定着につながる。ありがたいことだと言える。

 『古代ローマとの対話』のサブタイトルにある「歴史感」は「歴史観」ではない。現代も歴史の一齣に過ぎないと感じることから、自分を「ローマ時代に生きる現代人」と感じ、またローマ人の気分で現代を眺める――それが「歴史感」という気分である。

 この2書は、ローマ史の基本的な流れをベースに、いろいろな切り口で歴史の様相を語っている。「ローマ帝国の歴史には人類の経験のすべてがつまっている」という丸山真男の見解を本村氏は随所で紹介している。やや西欧中心史観の匂いを感じつつも、ローマ史のアレコレに接すると丸山真男に同感する気分になる。

 本村氏の本の面白さは自身の競馬好きを反映した箇所にもある。『ローマ人に学ぶ』では、ポエニ戦争を競馬の迫真的な実況放送で描いていて楽しい。最後にスピキオ騎手がハンニバル騎手を抜き去ってゴールする実況中継で、レース後のハンニバル騎手の談話もある。『古代ローマとの対話』ではビザンツ帝国時代の十字軍とイスラム軍に関して両者の騎馬の違いを蘊蓄をこめて解説し、サラブレッドの誕生にまで言及している。

 それはともかく「ローマ帝国の歴史には人類の経験のすべてがつまっている」という丸山真男の見解は「ある対談」で語られたそうだ。それが、誰とのどんな対談なのか知りたい。ネット検索したが、わからなかった。

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