『横尾忠則 銀座番外地』は制作過程ブツのナマの迫力2023年05月22日

 銀座7丁目のギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の『横尾忠則 銀座番外地』を観た。ポスターや絵画などの完成品の展示ではない。それらができ上るまでのスケッチ、デッサン、ドローイング、コラージュ、版下などの展示である。

 かなりの量の制作過程作品が展示されていて、ナマの迫力に圧倒された。横尾忠則氏のスケッチブックのスライド上映もある。奔放なスケッチの奔流を眺めていると、横尾忠則氏は日常生活のなかで、呼吸をするようにスケッチを残してきたのではなかろうかという気がしてくる。

 私にとって興味深かったのは1960年代末のポスターやイラストに関する作品である。私がリアルタイムで衝撃を受けた作品の素をナマで眺めていると、遠い昔の制作現場に立ち会っている気分になる。

 あの頃の横尾忠則氏のポスターで印象深いのは「東京国際版画ビエンナーレ展」と「椿説弓張月」である。前者は駅に貼ってあるポスターをいつまでもうっとり眺めていた記憶がある。後者のポスターは後年になって入手し、自宅に貼っている。

 この二つのポスターのアイデアスケッチも何枚か展示している。意外と小さな紙にラフなタッチで書いている。ここからあのポスターが生まれたのかと、感慨深く眺めた。