『火星の人』の作者の新作『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読んだ ― 2022年07月29日
火星に一人取り残された宇宙飛行士のサバイバルを描いた『火星の人』は、独特の語り口の秀逸なSF小説だった。同じ作家の新作と聞いて次のSF長編を読んだ。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー(上)(下)』(アンディ・ウィアー/小野田和子訳/早川書房)
「ヘイル・メアリー」はラテン語の「アヴェ・マリア」で、アメリカン・フットボールでのイチかバチかの神頼みのロングパスを意味するそうだ。
この小説の軽妙な語り口は『火星の人』に似ている。オタク的とも言える科学談義も面白い。飽きさせない展開で一気に読める。物語のスケールは『火星の人』を大きく上回るが、緊迫が続くハラハラドキドキ感の面白さは『火星の人』の方が上だと感じた。
「ここはどこ? 私は誰?」で始まる物語で、話の内容に立ち入るとネタバレになる。だから詳しい紹介は控える。粗筋を3行で紹介すれば、バカバカしいほどにありふれた破滅テーマ宇宙SFと見なされるかもしれない。そんなプリミティブな話でもリアリティのあるディティールで紡ぎあげれば斬新で感動的な物語になる。
記憶を失った主人公が周辺の状況をサイエンス思考で探りながら次第に記憶を取り戻し、自分が何者であるか、どんなミッションを負っているかを少しづつ認識していく前半が面白い。科学談義の部分は学生向けの科学副読本にしたくなるような内容だ。中盤で記憶喪失になった真の原因が明かされる。これは少々意外な展開だった。
中盤を過ぎてからは先が見えた気がした。この先もいくつかの困難と克服を繰り返しながら成功にたどり着くのだろうと思った。しかし結末は私の予想とは違った。いい終わり方である。感心した。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー(上)(下)』(アンディ・ウィアー/小野田和子訳/早川書房)
「ヘイル・メアリー」はラテン語の「アヴェ・マリア」で、アメリカン・フットボールでのイチかバチかの神頼みのロングパスを意味するそうだ。
この小説の軽妙な語り口は『火星の人』に似ている。オタク的とも言える科学談義も面白い。飽きさせない展開で一気に読める。物語のスケールは『火星の人』を大きく上回るが、緊迫が続くハラハラドキドキ感の面白さは『火星の人』の方が上だと感じた。
「ここはどこ? 私は誰?」で始まる物語で、話の内容に立ち入るとネタバレになる。だから詳しい紹介は控える。粗筋を3行で紹介すれば、バカバカしいほどにありふれた破滅テーマ宇宙SFと見なされるかもしれない。そんなプリミティブな話でもリアリティのあるディティールで紡ぎあげれば斬新で感動的な物語になる。
記憶を失った主人公が周辺の状況をサイエンス思考で探りながら次第に記憶を取り戻し、自分が何者であるか、どんなミッションを負っているかを少しづつ認識していく前半が面白い。科学談義の部分は学生向けの科学副読本にしたくなるような内容だ。中盤で記憶喪失になった真の原因が明かされる。これは少々意外な展開だった。
中盤を過ぎてからは先が見えた気がした。この先もいくつかの困難と克服を繰り返しながら成功にたどり着くのだろうと思った。しかし結末は私の予想とは違った。いい終わり方である。感心した。
先週も今週もコロナで観劇できなかった ― 2022年07月31日
本日(2022年7月31日)、NODA・MAP公演 『Q:A Night At The Kabuki』(東京芸術劇場プレイハウス)を観る予定だったが、「公演関係者コロナ感染」で中止になった。7月29日の開幕を8月2日に延期するそうだ。何度も抽選を外れてやっと入手したチケットだったので残念である。
先週は、タカハ劇団公演 『ヒトラーを画家にする話』を観るために劇場(東京芸術劇場シアターイースト)まで出向き、「出演者コロナ感染のため中止」の貼り紙を見てスゴスゴと帰宅した。
最近、コロナによる公演中止が相次いでいる。「コロナ 公演中止」で検索すると山ほど出てくる。2年前にも公演が総崩れになり、数枚のチケットの払い戻し手続きをした。あのときは皆が閉門蟄居状態だったので息をひそめているしかなかった。だが、今回の公演中止はランダムな銃撃を浴びている気分で、運がよければ観劇できるのだ。客も落ち着かないが、出演者たちのストレスは大変だろうと同情する。
先週は、タカハ劇団公演 『ヒトラーを画家にする話』を観るために劇場(東京芸術劇場シアターイースト)まで出向き、「出演者コロナ感染のため中止」の貼り紙を見てスゴスゴと帰宅した。
最近、コロナによる公演中止が相次いでいる。「コロナ 公演中止」で検索すると山ほど出てくる。2年前にも公演が総崩れになり、数枚のチケットの払い戻し手続きをした。あのときは皆が閉門蟄居状態だったので息をひそめているしかなかった。だが、今回の公演中止はランダムな銃撃を浴びている気分で、運がよければ観劇できるのだ。客も落ち着かないが、出演者たちのストレスは大変だろうと同情する。
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