『史記』のサワリを撫でてみた ― 2022年02月15日
中国古代史の概説書を読んでいると『史記』の重要性を感じざるを得ない。しかし私は、いまのところ『史記』に挑戦する気力はない。で、手軽そうな次の新書を読んだ。
『史記:中国古代の人びと』(貝塚茂樹/中公新書)
初版は1963年5月と古い。手元にあるのは2004年5月の75版だ。予想以上に面白かった。著者は「まえがき」で次のように述べている。
〔この本は史記の抄訳、それも思いきった現代語訳であると同時に、司馬遷がぼんやりと微妙な形で表現した歴史観に近代的な照明をあたえることによって解釈をほどこそうとするものである。〕
まさに、この宣言通りの内容だった。「思いきった現代語訳」でサワリを紹介しながら、わかりやすい解説を展開している。碩学の闊達な座談を拝聴している気分になる。
大史令だった司馬遷は李陵の禍で宮刑(去勢で宦官にされる)に処せられる。それでも『史記』を書き続ける。本書の冒頭は、そんな司馬遷の真情を綴った「ある死刑囚にあたえる手紙」の紹介である。迫力ある内容に引き込まれた。
司馬遷像を表す手紙の紹介に続いて、史記本文の解説になる。史記の全貌は巻末の「史記全巻名」一覧表で紹介している。全130巻(12本紀、8書、10表、30世家、70列伝)の題名のリストである。本書で扱った巻には*がついている。それは、3本紀、1表、3世家、15列伝で計22巻となる。
どの紹介も興味深いが、商鞅・蘇秦・孟嘗君・陳勝などの話が面白い。史記は歴史に残る有名人を記述した書と思っていたが、循吏列伝・游陜列伝・貨殖列伝・酷吏列伝などでは庶民に近い人物を描いている。これらの列伝は、その題名の意味を想像するだけでも不思議な気分になる。史記には社会史や経済史の要素もあるようだ。
本書で史記のサワリを知ったうえで巻末の全130巻のリストを眺めると、史記の大きさを多少は感得した気分になる。
『史記:中国古代の人びと』(貝塚茂樹/中公新書)
初版は1963年5月と古い。手元にあるのは2004年5月の75版だ。予想以上に面白かった。著者は「まえがき」で次のように述べている。
〔この本は史記の抄訳、それも思いきった現代語訳であると同時に、司馬遷がぼんやりと微妙な形で表現した歴史観に近代的な照明をあたえることによって解釈をほどこそうとするものである。〕
まさに、この宣言通りの内容だった。「思いきった現代語訳」でサワリを紹介しながら、わかりやすい解説を展開している。碩学の闊達な座談を拝聴している気分になる。
大史令だった司馬遷は李陵の禍で宮刑(去勢で宦官にされる)に処せられる。それでも『史記』を書き続ける。本書の冒頭は、そんな司馬遷の真情を綴った「ある死刑囚にあたえる手紙」の紹介である。迫力ある内容に引き込まれた。
司馬遷像を表す手紙の紹介に続いて、史記本文の解説になる。史記の全貌は巻末の「史記全巻名」一覧表で紹介している。全130巻(12本紀、8書、10表、30世家、70列伝)の題名のリストである。本書で扱った巻には*がついている。それは、3本紀、1表、3世家、15列伝で計22巻となる。
どの紹介も興味深いが、商鞅・蘇秦・孟嘗君・陳勝などの話が面白い。史記は歴史に残る有名人を記述した書と思っていたが、循吏列伝・游陜列伝・貨殖列伝・酷吏列伝などでは庶民に近い人物を描いている。これらの列伝は、その題名の意味を想像するだけでも不思議な気分になる。史記には社会史や経済史の要素もあるようだ。
本書で史記のサワリを知ったうえで巻末の全130巻のリストを眺めると、史記の大きさを多少は感得した気分になる。
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