西域の砂漠に残る「シルクロード」の謎 ― 2021年06月03日
40年前のNHK「シルクロード」取材班団長を務めた人が書いた次の新刊新書を読んだ。
『シルクロード:流沙に消えた西域三十六か国』(中村清次/新潮新書)
1980年放映の名高いテレビ番組『シルクロード』を私は放映時には観ていないが、昨年夏、BSプレミアムで 再放送を観た 。懐メロ番組のような趣もあり十分に楽しめた。
そんな記憶がまだ鮮明なので、「今だから語れる往年の取材秘話」を交えてシルクロードの現状や概要を紹介するエッセイと思って読み始めた。だが、そんな軽いエッセイでも入門的な概説書でもなかった。いくつかのトピックに絞ったシルクロード調査の現状紹介で、ややマニアックとも言える「シルクロードの謎」を何点か呈示している。
サブタイトルの「流沙に消えた西域三十六か国」が示しているように、記述対象をタリム盆地(タクラマカン砂漠)の古跡に絞っていて、「草原の道」や「海の道」には簡単に触れているだけだ。
ヘディンの「さまよえる湖」の話が興味深い。私は高校1年の地理の授業で「さまよえる湖」の話を胸をときめかして聞いた記憶がある(57年前だ)。その後、シルクロード関連の本でヘディン説が否定されているのは承知していたが、本書でその根拠が明確になった。砂漠の湖が消えたのは気候変動でも自然現象でなく、人間の社会活動のせいだったようだ。
本書を読むと、未だに場所が特定できない古代都市や王城があり、砂漠には多くの遺物が眠っているとわかる。永遠に眠り続けるのかもしれない。
『シルクロード:流沙に消えた西域三十六か国』(中村清次/新潮新書)
1980年放映の名高いテレビ番組『シルクロード』を私は放映時には観ていないが、昨年夏、BSプレミアムで 再放送を観た 。懐メロ番組のような趣もあり十分に楽しめた。
そんな記憶がまだ鮮明なので、「今だから語れる往年の取材秘話」を交えてシルクロードの現状や概要を紹介するエッセイと思って読み始めた。だが、そんな軽いエッセイでも入門的な概説書でもなかった。いくつかのトピックに絞ったシルクロード調査の現状紹介で、ややマニアックとも言える「シルクロードの謎」を何点か呈示している。
サブタイトルの「流沙に消えた西域三十六か国」が示しているように、記述対象をタリム盆地(タクラマカン砂漠)の古跡に絞っていて、「草原の道」や「海の道」には簡単に触れているだけだ。
ヘディンの「さまよえる湖」の話が興味深い。私は高校1年の地理の授業で「さまよえる湖」の話を胸をときめかして聞いた記憶がある(57年前だ)。その後、シルクロード関連の本でヘディン説が否定されているのは承知していたが、本書でその根拠が明確になった。砂漠の湖が消えたのは気候変動でも自然現象でなく、人間の社会活動のせいだったようだ。
本書を読むと、未だに場所が特定できない古代都市や王城があり、砂漠には多くの遺物が眠っているとわかる。永遠に眠り続けるのかもしれない。
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