10年ぶりに『菅原伝授手習鑑』を通しで観た2025年09月24日

 今月(2025年9月)の歌舞伎座は『菅原伝授手習鑑』の通し狂言でAプロとBプロがある。菅丞相(菅原道真)をAプロでは仁左衛門、Bプロでは幸四郎が演じる。幸四郎の菅丞相は初役だそうだ。

 仁左衛門はすでに81歳、いまのうちに観ておきたいという気分でAプロのチケットを取ろうと思った。前売券発売開始時にサイトにアクセスしたが混雑でつながらず、ようやくつながったときには、仁左衛門が出演するAプロ昼の部は完売になっていた。

 9月は10日間の西域旅行を予定していてスケジュールが厳しく、出発の前日(12日)に夜の部(Aプロ)、帰国の翌日(23日)に昼の部(Bプロ)を観た。昼→夜の順に連続して観たかったが、10日をへだてて逆順で観ることになった。

 私は10年前に『菅原伝授手習鑑』を通しで観ている。あのときに菅丞相を演じた仁左衛門の姿は少し憶えている。と言っても、木像の菅丞相が動きだす超現実的なシーンの印象が残っているだけで、他はほとんど忘れている。「車引」は3年前にも観ているが、情景がかすかに浮かぶだけだ。全体的な話の内容は憶えていない。

 今回の演目は以下の通りで、10年前と同じだ。

 〔昼の部〕
   加茂堤
   筆法伝授
   道明寺
 〔夜の部〕
   車引
   賀の祝
   寺子屋

 通しと言ってもこれで全てではない。観劇に先立って『名作歌舞伎全集』の台本にザーッと目を通した。私にとって歌舞伎の台本は、観劇前に読んでも頭に入りにくい。 観劇後に読めば舞台の記憶がよみがえり、情景や状況がつかみやすくて楽しい。

 全6幕のうち、印象に残るのは「道明寺」と「寺子屋」だった。「寺子屋」は『義経千本桜』の「すし屋」と似た仕掛けの話で頭の中で混ざりそうになる。作者(竹田出雲、三好松洛、並木千柳)が同じということもあるが、歌舞伎に仕立てるとどれも似たような話になるのかもしれない。シェイクスピアも似た仕掛けをくり返し使っている。

 幸四郎の菅丞相の姿は仁左衛門に重なって観えた。やはり、生身の人間が木像として動く姿が面白い。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
ウサギとカメ、勝ったのどっち?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://dark.asablo.jp/blog/2025/09/24/9805203/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。