『進化論はいかに進化したか』はわかりやすくて面白い ― 2025年11月14日
『進化という迷宮』(千葉聡)を読了して、未読棚の次の本が気がかりになったので読了した。
『進化論はいかに進化したか』(更科功/新潮選書/2019.1)
本書第1部「ダーウィンと進化学」の冒頭に次の述懐がある。
「進化学という分野は、何十年にもわたって同じような誤解やとんでもない説が、繰り返し主張されつづけている分野であり、現在でもその勢いは衰えていない。これは、物理や化学は生物の他の分野などには、あまり見られない特徴と言えるだろう。」
というわけで、現代の進化学を概説しつつ、ダーウィンの言説を現代の視点で検討している。わかりやすくて面白い。
ダーウィンは『種の起源』を何度も改訂し、そのたびに主張が微妙に変化している。だから、ダーウィンの言説をまとめるのは容易ではない。著者は、そんな事情を概説したうえで要領よく簡潔にダーウィン説を整理している。
生物が進化すること示したダーウインは、進化のメカニズムとして「自然選択」を提唱し、進化のプロセスとして「分岐進化」を提唱した。また、進化は連続的にゆっくり進むと考えていた。進化の漸進説である。
現在、「自然選択」には「安定化選択」と「方向性進化」があると考えられている。また、進化のメカニズムは「遺伝子浮動」「自然選択」「遺伝子交流」「突然変異」の4つとされている。これらの考えに基づいて推論すると「進化は進んだり止まったりの繰り返し」になる。形態がほとんど変化しない時期と急速に変化する時期が繰り返すのである。漸進ではないのだ。
本書で勉強になったのは木村資生の「中立説」の解説である。生物は自然選択よりも遺伝子浮動によって進化する場合が多いという。自然選択より偶然の方が重要だそうだ。興味深い話である。
また、今西進化論について1章を費やして解説しているのもうれしい。科学的な理論ではなく思想というべきもの――と見なしているようだ。
本書第2部「生物の歩んできた道」も非常に面白い。
「なぜ生物には車輪がないのか」という謎の検討も面白い。石原藤夫の傑作SF『ハイウェイ惑星』への言及を期待したが、それはなかった。
人類の直立二足歩行の進化を一夫一婦制に関連付けているのには驚いた。10年前に読んだ『家族進化論』(山極寿一)を連想した。
『進化論はいかに進化したか』(更科功/新潮選書/2019.1)
本書第1部「ダーウィンと進化学」の冒頭に次の述懐がある。
「進化学という分野は、何十年にもわたって同じような誤解やとんでもない説が、繰り返し主張されつづけている分野であり、現在でもその勢いは衰えていない。これは、物理や化学は生物の他の分野などには、あまり見られない特徴と言えるだろう。」
というわけで、現代の進化学を概説しつつ、ダーウィンの言説を現代の視点で検討している。わかりやすくて面白い。
ダーウィンは『種の起源』を何度も改訂し、そのたびに主張が微妙に変化している。だから、ダーウィンの言説をまとめるのは容易ではない。著者は、そんな事情を概説したうえで要領よく簡潔にダーウィン説を整理している。
生物が進化すること示したダーウインは、進化のメカニズムとして「自然選択」を提唱し、進化のプロセスとして「分岐進化」を提唱した。また、進化は連続的にゆっくり進むと考えていた。進化の漸進説である。
現在、「自然選択」には「安定化選択」と「方向性進化」があると考えられている。また、進化のメカニズムは「遺伝子浮動」「自然選択」「遺伝子交流」「突然変異」の4つとされている。これらの考えに基づいて推論すると「進化は進んだり止まったりの繰り返し」になる。形態がほとんど変化しない時期と急速に変化する時期が繰り返すのである。漸進ではないのだ。
本書で勉強になったのは木村資生の「中立説」の解説である。生物は自然選択よりも遺伝子浮動によって進化する場合が多いという。自然選択より偶然の方が重要だそうだ。興味深い話である。
また、今西進化論について1章を費やして解説しているのもうれしい。科学的な理論ではなく思想というべきもの――と見なしているようだ。
本書第2部「生物の歩んできた道」も非常に面白い。
「なぜ生物には車輪がないのか」という謎の検討も面白い。石原藤夫の傑作SF『ハイウェイ惑星』への言及を期待したが、それはなかった。
人類の直立二足歩行の進化を一夫一婦制に関連付けているのには驚いた。10年前に読んだ『家族進化論』(山極寿一)を連想した。
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