『鹿鳴館異聞』はハイカラ結婚のてんまつ譚2026年03月14日

 東京芸術劇場シアターウエストで名取事務所公演『鹿鳴館異聞』(作:堤春恵、演出:扇田拓也、出演:松本紀保、千賀功嗣、平体まひろ、他)を観た。森有礼と前妻・常をめぐるミステリー仕立ての面白い舞台だった。

 初代文部大臣・森有礼は、英国や米国への留学経験があり、英国公使も務めた政治家・外交官である。帝国憲法発布の日に国粋主義者に刺され、翌日死去した。一夫一婦制と夫婦対等を主張する啓蒙思想家でもあり、幕臣の娘広瀬常との結婚に際して、福澤諭吉を証人とした婚姻契約書に双方が署名し、契約結婚のはしりと言われた。

 『朝日新聞100年の記事にみる結婚と恋愛』という本には「当時の新聞ではハイカラ結婚として報じられた。明治19年11月夫人の素行上のことで双方納得の上、離婚、森は翌年6月岩倉右大臣の娘寛子を夫人に迎える。」とある。

 この芝居の舞台は、築地の外国人居留地に建つ洋館の一室である。この館には森有礼と離婚した常が看護婦と共に暮らしている。帝国憲法発布の前夜、森有礼がこの館を訪ねる場面から物語が始まる。

 森有礼が去った後、男爵夫妻を名乗る二人が訪ねて来る。この夫妻とやり取りをしているうちに、森有礼が引き返してきて、話はどんどんエスカレートしていく。

 森有礼と常の離婚に際して何があったのかが明らかになっていくなかで、日本の「文明開化」をめぐる悲喜劇も浮かび上がってくる。

 この芝居が面白いのは、歌舞伎役者や曲芸師がからんでくる所だ。訪ねてきた男爵夫妻は、実は新聞記者と歌舞伎の女形役者の変装であり、常の面倒をみている看護婦は、実は明治初期に欧州興行をした曲芸師である。実ハ、実ハの展開に引き込まれた。

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