ポンペイ本2冊を読んだ2024年07月13日

『ポンペイ・奇跡の町』(ロベール・エティエンヌ/弓削達監修/知の再発見双書/創元社)、『古代ポンペイの日常生活』(本村凌二/祥伝社新書)
 私は古代ローマ史に関心があるがポンペイに行ったことはない。後期高齢者になってしまい、もはやポンペイを見ることはなかろうと思っていたが、来月、南イタリアのツアーに参加することになり、ポンペイも訪問予定だ。その準備気分で、ポンペイに関する次の2冊を読んだ。

 『ポンペイ・奇跡の町』(ロベール・エティエンヌ/弓削達監修/知の再発見双書/創元社)
 『古代ポンペイの日常生活:「落書き」でよみがえるローマ人』(本村凌二/祥伝社新書)

 後者は、2年前に読んだ『古代ポンペイの日常生活』(講談社学術文庫)と同じ内容である。新書が文庫になるケースはあるが文庫から新書は珍しい。その経緯を新書版の「まえがき」で述べている。この本は何と「中公新書」→「単行本(講談社)」→「講談社学術文庫」→「祥伝社新書」と変遷してきたそうだ。

 同じ内容なら既読の版を読み返せばいいのに、祥伝社新書版を購入した。著者とヤマザキマリ氏との対談が付加され、写真も少し追加されているからである。

 2年前に読んだ本の内容の大半は失念している。『古代ポンペイの日常生活』の冒頭、「円形闘技場での乱闘」の壁画を提示してヌケリアとポンペイの住民の間の抗争を語っている。本書初読の後、私は、東博の特別展「ポンペイ」でこの壁画の実物を観ている。再読でこの壁画の白黒写真に接したとき、それを思い出し、うれしくなった。

 ポンペイの落書き紹介がメインの『古代ポンペイの日常生活』には、落書きの図解が多数載っているが、実物の写真は載っていない。落書きは『碑文集』なる文献に収録されているが、実物が保存されていないものも多いらしい。ポンペイの発掘は18世紀に始まった。それから二百数十年の間、発掘された後に失われてしまったものも多いのだ。

 『ポンペイ・奇跡の町』は、多くの写真を掲載した図解本である。壁画、遺物、建物の写真が中心で落書きの写真は載っていない。本書を読むと、発掘の歴史と遺跡の概要を把握できる。発掘の歴史に関して次の記述があった。

 「ガリバルディは小説家アレクサンドル・デュマに博物館の管理と指揮をまかせたが、これはポンペイ発掘史上もっとも不適切な人選であることが判明し、デュマはまもなく辞任した。」

 これしか書いていない。いったいデュマは何をやらかしたのだろうか。

 本書巻末の「資料編」には〔繰り返される「ポンペイの滅亡」〕という項目があり、その内容が衝撃的だ。ポンペイは発掘されたが故に、さらなる滅亡の危機に瀕しているという話である。遺跡は、「植物や湿気」「心ない破壊行為」「押し寄せる観光客」によって息の根を止められようとしていると指摘している。

 来月ポンペイに行くのが少し後ろめたくなった。