アフガニスタンの歴史はややこしい2021年09月19日

『アフガニスタン史』(前田耕作・山根聡/河出書房新社/2002.10)
 タリバンがアフガニスタンを制圧し、2001年の9.11以来の20年の歴史が振り出しに戻ったと言われている。そんな状況に煽られて、古書で入手したまま積んでいた次の本を読んだ。

 『アフガニスタン史』(前田耕作・山根聡/河出書房新社/2002.10)

 19年前の本である。同時多発テロの報復で米国がアフガニスタンのタリバン政権を攻撃、タリバン駆逐後の暫定政権ができた頃で、2002年1月、東京に世界各国の代表が集まってアフガニスタン復興支援協議の東京会議が開かれた。あの頃、日本記者クラブでカルザイ暫定統治機構議長(後に大統領)の記者会見もあった。何となくアフガニスタンは安定に向かうように思っていたが、それは間違いだった。

 当然ながら、本書は本書刊行後の歴史を述べていない。にもかかわらず、本書を読むとアフガニスタンの今日の状況が必然に見えてくる。19年前の本書はアフガニスタンの将来を楽観していない。

 本書は「第1部 古代~近代」「第2部 現代」に分かれている。ページ数はほぼ同じで、どちらも興味深いが、どちらもややこしい。文明の十字路と言われるこの地は、いつの時代も東西南北の周辺勢力の影響・干渉にさらされているうえに、いくつかの民族や部族が合従連衡をくり返している。実に複雑である。

 近代以降のアフガニスタン史を乱暴に要約すれば、内戦と内紛のくり返しであり、その多くに外国勢力が絡んでいる。昨日の敵は今日の友(あるいはその逆)という事態も多い。この地域の部族全体をまとめるナショナリズム(想像の共同体)が形成しにくかったように見える。

 もちろん、アフガニスタンに暮らす人々は内戦を望んではいない。1990年代後半にタリバンが勢力を拡大したのは、内戦や山賊によって悪化した治安を回復する勢力として台頭し、人々がそれを歓迎したからである。だが、内戦をやめさせるためのタリバンも結局は内戦の一員になる。タリバンが米軍に打倒されても、これまで内戦をくり返してきた勢力はそのままである――それが、本書が出た当時の状況である。

 それから20年、タリバン再登場のアフガニスタンは、これまでの歴史をくり返すのだろうか。歴史の新たな段階に入ることを期待したいが…