<若衆公演>『少女都市からの呼び声』は客層も若い2023年10月19日

 下北沢のザ・スズナリで新宿梁山泊の<若衆公演>『少女都市からの呼び声』(作:唐十郎、演出:金守珍、出演:風間杜夫、大久保鷹、藤田佳昭、柴野航輝、矢内有紗、他)を観た。3連続公演の3弾目である。第1弾は花園神社境内のテント版、第2弾はシアター・ミラノザでの大劇場版、そして今回の小劇場版<若衆公演>である。

 この芝居の元になった『少女都市』を状況劇場が紅テントで上演したのは1969年12月、私は54年前にそれを観ている。私が3連続公演すべてを観たいと思ったのは、紅テント初体験の『少女都市』が私のアングラ観劇の原点になっているからだと思う。

 『少女都市』の改訂版と言える『少女都市からの呼び声』の初上演は38年前の1985年11月、テント公演ではなく、小劇場での状況劇場<若衆公演>だったそうだ。今回の小劇場版は初演の形に戻ったのかもしれない。

 3公演とも演出は金守珍で、趣向や役者は異なっている(何人かは3公演ともに出演している)。今回は<若衆公演>だからメインは若い役者だが、老優も登場する。

 「なんてジメジメした陽気なんだ」を繰り返す老人を演じるのは、80歳の大久保鷹、54年前の『少女都市』で主役を演じた怪優だ。今回の役では、ボケ老人を装ったアドリブで50年前のパレスチナ公演と今回のガザ攻撃に言及していた。3連続公演すべての「連隊長」役(昔は唐十郎が演じた)風間杜夫74歳も元気だ。お約束のように演歌を披露して喝采を浴びていた。

 客層は圧倒的に若い人が多い。私のような高齢者は1割ぐらいだと思う。役者も客層も新陳代謝しているのは、唐十郎の演劇が普遍的で妖しい力をもっているからだろう。

 この芝居、「少女都市」は夢世界で、そこからの呼び声を聞くのが「現実世界」という設定に見え、夢世界から現実世界への浸潤も描いている。と言っても、舞台上の「現実世界」が現実である筈はない。夢の多重構造が織りなすめくるめく世界が舞台に現出する。何度観ても陶酔的だ。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
ウサギとカメ、勝ったのどっち?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://dark.asablo.jp/blog/2023/10/19/9626771/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。