私の求めていた歴史地図を見つけた2022年06月19日

『最新世界史図説 タペストリー』(監修:川北稔、桃木至朗/帝国書院)
 駅前の本屋の棚に並んでいた次の本を手に取り、これこそ私が求めていたものだと感激し、すぐに購入した。

 『最新世界史図説 タペストリー』(監修:川北稔、桃木至朗/帝国書院)

 全頁カラーの大判なのに、定価は957円(870円+税)。高校生向けの教科書に準じた副読本だから安いのだと思う。一般書なら数千円でもおかしくない内容である。

 私は、本書によく似た山川出版社の『詳説世界史図録』を数年前に入手しているが、この『タペストリー』の方が充実している。

 私が感動したのは冒頭の「世界史対照表」と年代別の世界地図である。

 「世界史対照表」とは、横軸・縦軸を時間と地域にして、古代から現代までの王朝や国の消長が一覧できる表である。歴史の本を読んでいると、いろいろな形の対照表を目にするが、時代や地域を限定したものが多い。本書の見開きの対照表は網羅的で、それを眺めるだけで人類の歴史を俯瞰した気分になる。

 それ以上に感動したのは年代別の世界地図である。かねがね、古代から現代までの1世紀ごとの世界地図があれば便利だと思っていたが、手頃なものが見つからなかった。本書の6ページから51ページまでの見開き23枚の世界地図は、まさに私が求めているものだった。最初の3枚は「前4~前3世紀」「前2~前1世紀」「1~2世紀」と200年ごとだが、3世紀からは100年ごとになり、19世紀以降は50年ごとになる。

 ただし、なぜか8世紀と9世紀は「8~9世紀」とまとめて200年になっている。ここは2枚に分けてほしかった。3世紀以降の歴史において8~9世紀は変動が少なかったのだろうか。学習書なので各地図の欄外には簡単な地域別年表や概説記事があり、その時代の主要な出来事が把握できる。よくできている。

 冒頭の歴史地図だけでなく本体部分の図説も充実している。私が最近読んだばかりのイスラーム史のページを眺めると「イスラーム王朝興亡史」という表があり、この表にも感動した。

 この「興亡史」は「世界史対照表」のイスラーム王朝部分を詳細にしたもので、各王朝を「アラブ系」「イラン・アフガン系」「トルコ系」「ベルベル系」「その他」に色分けしている。アラブ系からトルコ系への変遷が色の変化でつかめる。縞模様の王朝もある。「モンゴル系」がないのも実態の反映だと納得した。イル=ハン国、ティームール帝国、ムガル帝国などは「その他」に色分けしている。シーア派の王朝名を赤字表記にしているのも親切だ。

 この『タペストリー』をパラパラめくりながら、その豊富な内容に「高校世界史恐るべし」と感じた。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
ウサギとカメ、勝ったのどっち?

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://dark.asablo.jp/blog/2022/06/19/9501583/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。