巨大地震は歴史変動を誘発する---第2の「幕末」に突入か ― 2011年03月18日
3月10日、中欧旅行から帰国。時差ボケ中の11日に地震に遭遇。私は東京在住なので、棚から物が落ちる程度の体験だった。繰り返される津波警報で「10メートル以上」という予想値を聞いた頃から現実感が霞んできた。それ以来、家にいる時間はテレビの前から離れられず、テレビ疲れで何事も手につかない。
そんな状況が何日も続いた後、やっと少しテレビから離れ、『安政江戸地震:災害と政治権力』(野口武彦/ちくま学芸文庫)という本を読んだ。ネットでの紹介を見て、面白そうだと感じたからだ。こんな日々は、地震や原発と無縁の本を手にする気にならない。
本書は、1995年の阪神大震災を体験した著者が震災の2年後に上梓した新書本の文庫版だ。大政奉還・明治維新の12年前、江戸を安政地震(M6.9)が襲った。著者はこの地震を幕府倒潰の序曲と見なし、自然変動と歴史変動は連動しているという視点で安政地震に襲われた江戸の様相を描いている。本書の末尾近くに、次のような文章がある。
「このアナストロフ(躁状態的破滅)の地平には、幕府が地震後十二年にわたって百三十万人口のうちに培養したラディカルな能天気、支配層への期待感ゼロ状態、とことん徹底的な政治無関心が広がっていた。幕府は自分で、いかなる政治勢力にもまるで役に立たない厖大な人口集団を作り出していた。それが幕末「都市」問題のハイライトであった。そして間違いなくここには、液状化した地盤の奈落に国家権力が自重で沈降していく日本の政治の原光景がある。」
阪神大震災とその後の日本の状況から発想した本なので、幕末と現代を重ねて見ようとしている。そして、この見かたは、今回の巨大地震において、より鮮明にあてはまるように思えてしまう。
多くの人が語り始めているように、今回の巨大地震(大津波+原発事故)は1945年の敗戦以来最大のイベントなのだと思える。今回の自然変動も歴史変動を誘発しそうだ。今や日本は第2の「幕末」に突入したようだ。日常と非日常が交錯する躁状態のあとにどのような「新時代」が到来するのだろうか。私はその「新時代」を見ることができるだろうか。
時代の行方は常に増して不透明である。
そんな状況が何日も続いた後、やっと少しテレビから離れ、『安政江戸地震:災害と政治権力』(野口武彦/ちくま学芸文庫)という本を読んだ。ネットでの紹介を見て、面白そうだと感じたからだ。こんな日々は、地震や原発と無縁の本を手にする気にならない。
本書は、1995年の阪神大震災を体験した著者が震災の2年後に上梓した新書本の文庫版だ。大政奉還・明治維新の12年前、江戸を安政地震(M6.9)が襲った。著者はこの地震を幕府倒潰の序曲と見なし、自然変動と歴史変動は連動しているという視点で安政地震に襲われた江戸の様相を描いている。本書の末尾近くに、次のような文章がある。
「このアナストロフ(躁状態的破滅)の地平には、幕府が地震後十二年にわたって百三十万人口のうちに培養したラディカルな能天気、支配層への期待感ゼロ状態、とことん徹底的な政治無関心が広がっていた。幕府は自分で、いかなる政治勢力にもまるで役に立たない厖大な人口集団を作り出していた。それが幕末「都市」問題のハイライトであった。そして間違いなくここには、液状化した地盤の奈落に国家権力が自重で沈降していく日本の政治の原光景がある。」
阪神大震災とその後の日本の状況から発想した本なので、幕末と現代を重ねて見ようとしている。そして、この見かたは、今回の巨大地震において、より鮮明にあてはまるように思えてしまう。
多くの人が語り始めているように、今回の巨大地震(大津波+原発事故)は1945年の敗戦以来最大のイベントなのだと思える。今回の自然変動も歴史変動を誘発しそうだ。今や日本は第2の「幕末」に突入したようだ。日常と非日常が交錯する躁状態のあとにどのような「新時代」が到来するのだろうか。私はその「新時代」を見ることができるだろうか。
時代の行方は常に増して不透明である。
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