『ジャイロモノレール』にワクワクした2018年12月31日

『ジャイロモノレール』(森博嗣/幻冬舎新書
 大晦日の忙中閑にとても面白い刺激的な新書を読んだ。

 『ジャイロモノレール』(森博嗣/幻冬舎新書)

 著者は工学の研究者でミステリー作家だそうだ。私には未知の人で本書が初体験である。

 「ジャイロ」も「モノレール」も何となくわかるが、「ジャイロモノレール」という言葉は知らない。ジャイロで安定させるモノレールだろうと想像できるが聞いたことはない。

 ジャイロモノレールは100年前の先端技術で実用実験もされていたそうだが、現在は忘れられた技術になっている。著者の森博嗣氏は昔の文献をもとにジャイロモノレールの復元を目指し、模型を実作している。本書はジャイロモノレールの理論の解説であり、実作の記録である。

 ジャイロモノレールを単に「ジャイロで安定させたモノレール」ぐらいに考えたのは早とちりで、そこにはかなり複雑な理論とメカニズムがあることを知った。ジャイロの不思議と面白さをあらためて感じることもできた。

 模型でジャイロモノレールを作るというのは簡単な作業ではなく、その制作記にはワクワクさせられる。レトロなメカニズムには独特の魅力がある。私には無理だが、模型好き・工作好きの友人に本書を紹介して挑戦させたいと思った。

 この著者がどんなミステリー作品を書いているのかにも興味がわき、小説も読んでみたくなった。