『昭和の選択 “引き揚げの神様”と呼ばれた男』の再放送がある2025年12月13日

 先日、NHKの『英雄たちの選択――昭和の選択 “引き揚げの神様”と呼ばれた男』という番組を観た。松村義士男というあまり知られていない人物の紹介だ。私は昨年読んだ『奪還:日本人難民6万人を救った男』(城内康伸/新潮社)で初めてこの人物を知った。ウィキペディアにも、まだ「松村義士男」の項目はない。

 『昭和の選択 “引き揚げの神様”と呼ばれた男』は、NHK BS 12月17日(水)午後5:00から再放送されるようだ。この番組で、より多くの人々にこの人物を知ってほしいと思う。

 松村義士男は一個人である。労働運動に関わって2回検挙されている。終戦直前、朝鮮の建設会社で働いていて召集され、ソ連の捕虜になる。だが、機敏に脱走する。その後は、現地で邦人引き揚げというプロジェクトに取り組み、抜群の胆力と交渉力を発揮し「引き揚げの神様」と呼ばれるようになる。この男の尽力で6万人が帰国できた。

 問題は帰国後である。多額の負債をかかえ、その返済に苦労するのだ。引き揚げ作業には列車や船を調達しなければならない。詳細は不明だが、おそらくは引き揚げ対象の現地邦人の資産家から個人で借り入れたのだろう。借りた金を返すのは当然としても、あまりに理不尽な話だ。本来は国や役所が担うべきプロジェクトを、それが期待できないが故に一個人が担った――その負債である。

 松村義士男の後半生には空白が多く、詳細は不明だそうだ。戦後22年の1967年に55歳で病死している。番組の司会者・磯田道史氏は、松村義士男に独自の美学があったのかもしれないと述べている。この番組を機に、何等かの情報で彼の後半生の空白が多少でも埋まればとも思う。

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