『蒙古が襲来』の舞台は対馬 ― 2025年02月20日
パルコ劇場で東京サンシャインボーイズ復活公演『蒙古が襲来』(作・演出:三谷幸喜、出演:梶原善、西村まさ彦、相場一之、他)を観た。30年前に休眠(事実上の解散)した三谷幸喜氏の劇団・東京サンシャインボーイズが30年前の「公約」通りに結集した一回限りの復活公演だそうだ。
私は東京サンシャインボーイズの芝居を観たことはない。チケットが取りにくい人気劇団だったそうだが、30年前の私はその存在も知らなかった。三谷幸喜氏が手掛けた映画やテレビドラマは何本も観ているが、舞台はほとんど観ていない。
東京サンシャインボーイズという劇団に思い入れのない私が『蒙古が襲来』を観たいと思ったのは、蒙古襲来時の対馬を題材にしていると知ったからである。私は対馬に行ったことはないが、対馬の特異な歴史に関心がある。機会があれば訪問したいと思っている。モンゴルの歴史や蒙古襲来も私の関心分野だ。
もちろん、普通の意味での歴史劇を期待したわけではない。三谷幸喜氏らしいひねりの効いたコメディ仕立てだろうと予感した。対馬という遠い前線の島での蒙古襲来をどんな切り口でドラマにしているか興味がわいた。蒙古に拉致された対馬の村民を描いた井上靖の短編『塔二と弥三』を想起した。
背景に海が見える対馬の漁村が舞台である。そこに鎌倉の偉い武士が視察に来る。蒙古襲来の兆しがないかの実地調査である。多少の兆しはあるのだが、村民の幹部たちはそれを隠蔽する。なぜだか、蒙古が来襲する兆しはないと言い張る――という設定の芝居である。
観終わって、私はやや不満だった。蒙古襲来という歴史的事実を的確に表現し、メッセージ性もある。だが、隠蔽の経緯に関わる物語の部分が説得力に乏しい。コメディとしてはあまり楽しめなかった。
とは言え、東京サンシャインボーイズのファンには十分に楽しめる舞台だろうとも思えた。いろいろ仕掛けがあったようだ。配役リストには14人の役者が載っているのに、舞台上には13人しかいない。全員登場の場面で何度か数えたが、確かに13人だ。不思議だなと思った。帰宅後、購入したプログラムを読んで判明した。最後の方に声で少しだけ応答する「大宰府からの客人」という人物がいた。その声だけの役者・伊藤俊人もリストに載っているのだ。この役者は2002年に急逝、過去の舞台の音声を編集して声だけで「出演」していたのだ。
事情を知らない私は、この客人が姿を見せないのが不思議だった。配役リストにある伊藤俊人が故人だと知っている観客なら、故人にアテ書きされた登場人物を推測しながら観劇したのだろう。そう思って芝居全体を振り返るとナルホドと思える点もあり、見方が少し変わってくる。
私は東京サンシャインボーイズの芝居を観たことはない。チケットが取りにくい人気劇団だったそうだが、30年前の私はその存在も知らなかった。三谷幸喜氏が手掛けた映画やテレビドラマは何本も観ているが、舞台はほとんど観ていない。
東京サンシャインボーイズという劇団に思い入れのない私が『蒙古が襲来』を観たいと思ったのは、蒙古襲来時の対馬を題材にしていると知ったからである。私は対馬に行ったことはないが、対馬の特異な歴史に関心がある。機会があれば訪問したいと思っている。モンゴルの歴史や蒙古襲来も私の関心分野だ。
もちろん、普通の意味での歴史劇を期待したわけではない。三谷幸喜氏らしいひねりの効いたコメディ仕立てだろうと予感した。対馬という遠い前線の島での蒙古襲来をどんな切り口でドラマにしているか興味がわいた。蒙古に拉致された対馬の村民を描いた井上靖の短編『塔二と弥三』を想起した。
背景に海が見える対馬の漁村が舞台である。そこに鎌倉の偉い武士が視察に来る。蒙古襲来の兆しがないかの実地調査である。多少の兆しはあるのだが、村民の幹部たちはそれを隠蔽する。なぜだか、蒙古が来襲する兆しはないと言い張る――という設定の芝居である。
観終わって、私はやや不満だった。蒙古襲来という歴史的事実を的確に表現し、メッセージ性もある。だが、隠蔽の経緯に関わる物語の部分が説得力に乏しい。コメディとしてはあまり楽しめなかった。
とは言え、東京サンシャインボーイズのファンには十分に楽しめる舞台だろうとも思えた。いろいろ仕掛けがあったようだ。配役リストには14人の役者が載っているのに、舞台上には13人しかいない。全員登場の場面で何度か数えたが、確かに13人だ。不思議だなと思った。帰宅後、購入したプログラムを読んで判明した。最後の方に声で少しだけ応答する「大宰府からの客人」という人物がいた。その声だけの役者・伊藤俊人もリストに載っているのだ。この役者は2002年に急逝、過去の舞台の音声を編集して声だけで「出演」していたのだ。
事情を知らない私は、この客人が姿を見せないのが不思議だった。配役リストにある伊藤俊人が故人だと知っている観客なら、故人にアテ書きされた登場人物を推測しながら観劇したのだろう。そう思って芝居全体を振り返るとナルホドと思える点もあり、見方が少し変わってくる。
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