二月大歌舞伎の「人情噺文七元結」が面白い2025年02月18日

 歌舞伎座で「猿若祭二月大歌舞伎」夜の部を観た。「猿若祭」とは初世猿若勘三郎を記念する公演だそうだ。夜の部の演目は次の三つ。どれも、私には初めての演目である。

 1. 壇浦兜軍記 阿古屋
 2. 江島生島
 3. 人情噺文七元結

 「阿古屋」は源氏の重忠(菊之助)が、平家の景清の行方を聞き出すために遊君・阿古屋(玉三郎)を詮議する話である。詮議の方法が、琴・三味線・胡弓を奏でさせるというのが面白い。奏でる音が澄んでいるから、証言に偽りはないと判断する。歌舞伎らしい話だ。楽器を奏でる玉三郎の姿が見せ場である。

 「江島生島」は菊之助と七之助の舞踏劇だった。七之助の女形は美しい。

 「人情噺文七元結」はわかりやすくて面白い。円朝の物語的な落語がベースの人情噺である。よくできたハッピーエンドの話だ。オー・ヘンリーを連想した。主役は文七ではなく左官の長兵衛である。長兵衛夫妻を勘九郎と七之助の兄弟が演じている。この二人の絡みは、楽しく演じているように見える。勘九郎が父の18代勘三郎に似ていると感じた。