現代風にアレンジした組踊は思った以上に現代的だった ― 2024年11月30日
那覇文化芸術劇場なはーと小劇場で『花売の縁オン(ザ)ライン』(原作:組踊『花売の縁』、作・演出:兼島拓也、演出・振付:白神ももこ、出演:山内千草、大山瑠紗、井上あすか、北山結、垣花拓俊、安和学治)を観た。
組踊は歌舞伎に似た沖縄の歌舞劇である。何本かは観たが、その中に『花売の縁』はない。本公演のチラシには「組踊『花売の縁』を新たな視点で読み解いて現代演劇として再構築した」とある。未見の組踊ではあるが、それをどうアレンジしているのかに興味がわいた。
2時間の舞台は私の予想を超えた現代演劇だった。原作は、幕末の琉球王国で母と息子が、出稼ぎのため家を出たまま12年間音信不通の父(下級武士)を探す旅に出る話である。そんな大筋よりは、そこから派生したサブストーリーが奔放で、時代を超えた奇怪な劇世界を構築している。
音信不通の父はフランス人とイギリス人の宣教師を隔離・接待するという極秘の任務についていたのだ。そこには幕府の隠密も同居している。その接待所には電信機があり、怪しげな略語のモールス信号で世界と交信している。人物たちは実在しているのかバーチャルなのか、よくわからない。ナンセンス・コメディのようでもある。
ギャグやダジャレが飛び交う舞台に圧倒され、話の半ばまでは設定や状況を把握できず、頭が混乱した。だが、後半になってペリーが登場するあたりから面白くなった。
終盤、母子と父が再会し、三人が楽しく踊るシーンになる。父が躍りながら「夢ではなかろうか」と語ると、「夢だよ~」と息子が応答し、母子は消え去る。あっけに取られるシーンだ。
幕末を舞台にした芝居の役者が、遠い未来世界の観客に語りかけているように思わせるシーンも秀逸だ。賑やかで楽しく、そしてやや苦い舞台だった
組踊は歌舞伎に似た沖縄の歌舞劇である。何本かは観たが、その中に『花売の縁』はない。本公演のチラシには「組踊『花売の縁』を新たな視点で読み解いて現代演劇として再構築した」とある。未見の組踊ではあるが、それをどうアレンジしているのかに興味がわいた。
2時間の舞台は私の予想を超えた現代演劇だった。原作は、幕末の琉球王国で母と息子が、出稼ぎのため家を出たまま12年間音信不通の父(下級武士)を探す旅に出る話である。そんな大筋よりは、そこから派生したサブストーリーが奔放で、時代を超えた奇怪な劇世界を構築している。
音信不通の父はフランス人とイギリス人の宣教師を隔離・接待するという極秘の任務についていたのだ。そこには幕府の隠密も同居している。その接待所には電信機があり、怪しげな略語のモールス信号で世界と交信している。人物たちは実在しているのかバーチャルなのか、よくわからない。ナンセンス・コメディのようでもある。
ギャグやダジャレが飛び交う舞台に圧倒され、話の半ばまでは設定や状況を把握できず、頭が混乱した。だが、後半になってペリーが登場するあたりから面白くなった。
終盤、母子と父が再会し、三人が楽しく踊るシーンになる。父が躍りながら「夢ではなかろうか」と語ると、「夢だよ~」と息子が応答し、母子は消え去る。あっけに取られるシーンだ。
幕末を舞台にした芝居の役者が、遠い未来世界の観客に語りかけているように思わせるシーンも秀逸だ。賑やかで楽しく、そしてやや苦い舞台だった
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