人形浄瑠璃デビューで認識をあらためた ― 2016年12月10日
『仮名手本忠臣蔵』のオリジナルが人形浄瑠璃だとしても観劇は歌舞伎で十分だ。あえて人形浄瑠璃まで観たいとは思わなかった。しかし、国立劇場開場50周年記念で歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』に加えて人形浄瑠璃の『仮名手本忠臣蔵』も通し上演すると知り心が動いた。歌舞伎と人形浄瑠璃を見較べる機会は少なかろうと思い、人形浄瑠璃のチケットも手配した。
歌舞伎は『仮名手本忠臣蔵』全11段を3部に分けて3ヵ月かけて上演するが、人形浄瑠璃は昼と夜の2部で全11段を上演する。昼夜連続で観ると正味10時間以上になる。とりあえず昼の部(大序から6段目まで)だけ観ることにした。
人形浄瑠璃はほぼ初体験である。半世紀以上昔の高校時代に授業の一環で阿波人形浄瑠璃『傾城阿波の鳴門』を観たが何も憶えていない。そもそも、人形浄瑠璃をなぜ「文楽」と呼ぶのかも知らなかった。今回調べて、大正時代に人形浄瑠璃を上演するのが文楽座のみになったためだと知った。
観劇の数日前の朝、FM東京をかけると「いま、ここ半蔵門スタジオの前を大勢の女子大生が歩いています。何かイベントがあるのでしょうか」と放送していた。しばらくして「わかりました。みんさん国立劇場の文楽を観に行くそうです。忠臣蔵だそうです」との報告があった。
そんな放送を聞いていたので観客は女子大生であふれているのかと思っていたが、さほどではなかった。満員の客の大半は中高年で、歌舞伎よりは男性客の比率が高いように思えた。たまたま私の席の周辺がそうだったのかもしれない。
で、昼の部の5時間を観劇し、想像していた以上にわかりやすく十分に楽しむことができた。私が人形浄瑠璃を敬遠していた理由の一つは、浄瑠璃がわかりにくいと思っていたからだ。
数十年前、まだ歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』を観ていなかった頃、『仮名手本忠臣蔵』を読んでおこうと思って手にしたのが『岩波古典文学大系』の『浄瑠璃集』だった。これに収録されている『仮名手本忠臣蔵』は何とも読みにくく、途中で投げ出した。その直後に入手した『名作歌舞伎全集』の『仮名手本忠臣蔵』は比較的スラスラと読めた。基本的には同じものの筈だが、歌舞伎台本の形になっている方がはるかに読みやすかった。
そんな読書体験から歌舞伎に比べて人形浄瑠璃はわかりにくいと思い込んでいた。だが実際に観劇すると、さほどわかりにくくはなかった。よく知っている演目というせいもあるが、何と言っても舞台両脇にある字幕テロップのおかげである。太夫の語りに合わせてその内容が字幕で表示されるのだ。国立劇場の文楽公演にこんなサービスがあるとは知らなかった。字幕の文字を眺めながら義太夫を聞いていると、そこそこに意味を把握でき、楽しく観劇できた。
チケット予約時には昼の部だけでいいと思っていたが、実際に観劇すると夜の部も観たくなった。ダメモトでネット検索した。案の定、12月の小劇場に空席は残っていなかった。大劇場の歌舞伎の方は多少の空席があった。座席数が違うとは言え、同一演目で文楽が歌舞伎を凌駕していると知り、認識をあらためた。
歌舞伎は『仮名手本忠臣蔵』全11段を3部に分けて3ヵ月かけて上演するが、人形浄瑠璃は昼と夜の2部で全11段を上演する。昼夜連続で観ると正味10時間以上になる。とりあえず昼の部(大序から6段目まで)だけ観ることにした。
人形浄瑠璃はほぼ初体験である。半世紀以上昔の高校時代に授業の一環で阿波人形浄瑠璃『傾城阿波の鳴門』を観たが何も憶えていない。そもそも、人形浄瑠璃をなぜ「文楽」と呼ぶのかも知らなかった。今回調べて、大正時代に人形浄瑠璃を上演するのが文楽座のみになったためだと知った。
観劇の数日前の朝、FM東京をかけると「いま、ここ半蔵門スタジオの前を大勢の女子大生が歩いています。何かイベントがあるのでしょうか」と放送していた。しばらくして「わかりました。みんさん国立劇場の文楽を観に行くそうです。忠臣蔵だそうです」との報告があった。
そんな放送を聞いていたので観客は女子大生であふれているのかと思っていたが、さほどではなかった。満員の客の大半は中高年で、歌舞伎よりは男性客の比率が高いように思えた。たまたま私の席の周辺がそうだったのかもしれない。
で、昼の部の5時間を観劇し、想像していた以上にわかりやすく十分に楽しむことができた。私が人形浄瑠璃を敬遠していた理由の一つは、浄瑠璃がわかりにくいと思っていたからだ。
数十年前、まだ歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』を観ていなかった頃、『仮名手本忠臣蔵』を読んでおこうと思って手にしたのが『岩波古典文学大系』の『浄瑠璃集』だった。これに収録されている『仮名手本忠臣蔵』は何とも読みにくく、途中で投げ出した。その直後に入手した『名作歌舞伎全集』の『仮名手本忠臣蔵』は比較的スラスラと読めた。基本的には同じものの筈だが、歌舞伎台本の形になっている方がはるかに読みやすかった。
そんな読書体験から歌舞伎に比べて人形浄瑠璃はわかりにくいと思い込んでいた。だが実際に観劇すると、さほどわかりにくくはなかった。よく知っている演目というせいもあるが、何と言っても舞台両脇にある字幕テロップのおかげである。太夫の語りに合わせてその内容が字幕で表示されるのだ。国立劇場の文楽公演にこんなサービスがあるとは知らなかった。字幕の文字を眺めながら義太夫を聞いていると、そこそこに意味を把握でき、楽しく観劇できた。
チケット予約時には昼の部だけでいいと思っていたが、実際に観劇すると夜の部も観たくなった。ダメモトでネット検索した。案の定、12月の小劇場に空席は残っていなかった。大劇場の歌舞伎の方は多少の空席があった。座席数が違うとは言え、同一演目で文楽が歌舞伎を凌駕していると知り、認識をあらためた。
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