二月大歌舞伎の昼の部も観た2025年02月24日

 歌舞伎座で「猿若祭二月大歌舞伎」昼の部を観た。先日、夜の部を観劇し、昼の部の「きらら浮世伝」も観たくなったのだ。昼の部の演目は次の三つ。( )は上演時間である。

 1. 鞘當(23分)
 2. 醍醐の花見(27分)
 3. きらら浮世伝(第1幕61分、第2幕61分)

 上演時間2時間の「きらら浮世伝」は今年の大河ドラマの蔦屋重三郎の話である。この演目の元は歌舞伎ではなく、1988年に銀座セゾン劇場で上演した演劇(作:横内謙介、演出:河合義隆)だそうだ。当時、蔦屋重三郎を演じたのは先代の中村勘九郎(18世勘三郎襲名の前)だった。それを歌舞伎にした今回の舞台(作・演出:横内謙介)で、蔦重を演じるのは当代の勘九郎である。

 そんな経緯を知ったので「きらら浮世伝」を観たくなった。普通の芝居の歌舞伎化だからわかりやすそうだ。37年前の舞台を観ているわけではないが、当代の勘九郎が亡き父親の芝居を踏襲・更新する様に興味がわいた。

 「きらら浮世伝」は期待通りに面白かった。蔦重(勘九郎)と吉原の遊女・お篠(七之助)の二人と、蔦重を応援する戯作者&武士の恋川春町(芝翫)の三人がメインの一代記的な芝居である。当時の著名人が多数登場するのが楽しい。喜多川歌麿、山東京伝はすでに売れっ子、滝沢馬琴、葛飾北斎、十辺舎一九はまだ無名だ。

 で、写楽をどう扱うかが気になる。第2幕はまさに写楽をめぐる展開だった。タイトルの「きらら」は写楽の浮世絵を指している。写楽に醜く描かれてクレームをつける役者(中山富三郎)を勘三郎が演じる場面もある。

 この芝居は写楽の正体を提示してはいない。写楽絵で満たされた背景の前の花道で蔦重が写楽絵そっくりの見得を切って終わる。蔦重を巡る時代精神の結集が写楽を産んだと語っているように見えた。

 「鞘當」は「恋の鞘当て」の語源にもなった場面である。二人の武士(巳之助、隼人)と止め女(児太郎)の活人錦絵を楽しめた。

 舞踊がメインの「醍醐の花見」では、満足気に桜を愛でる秀吉(梅玉)の姿を眺め、めでたい気分にならざるを得ない。

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