『風のほこり』は唐十郎追悼にふさわしい舞台 ― 2024年12月28日
今年最後の観劇は新宿梁山泊唐十郎追悼特別公演『風のほこり』(作:唐十郎、演出:金守珍、出演:森岡朋奈、荒澤守、柴野航輝、大久保鷹、藤田佳昭、他)だった。テントではなく芝居砦・満天座での上演だ。
この芝居は唐十郎が新宿梁山泊のために書き下ろしたものである。初演は2005年のザ・スズナリで、その後再演されているが、私は今回が初見である。事前に戯曲を入手して読んだ。舞台写真や数編の解説風エッセイも収録した本で、とても有用だった。
この芝居は昭和5年の浅草玉木座の舞台下を舞台にしている。舞台から水が時々落ちてくるその場所には劇団プペ・ダンサントの文芸部がある。そこに出入りしているのが脚本家志望の若い女性・田口加代――この芝居のヒロインである。
この設定はほとんど事実に基づいている。プペ・ダンサントは実在した劇団で、田口加代は唐十郎の母親の実名である。唐十郎の母は若い頃、浅草の軽演劇の劇団に戯曲を売り込んでいたそうだ(採用されなかったらしい)。母の片目は義眼だった。その父親の梅毒のせいだという。この芝居は、そんな設定を取り入れている。
と言っても、もちろんリアリズム演劇ではない。事実をタネに唐十郎の妄想世界が膨らみ、ズロース・尻・水・ブリキの金魚・義眼などを巡って奇怪な人物たちが狭い舞台を跋扈する。
今年80歳になる大久保鷹が若い役者たちと共に、状況劇場以来変わらぬ怪演をくり広げている。その元気に感服し、感動した。
唐十郎が自身の母親を題材にした『風のほこり』は、今年逝った唐十郎の追悼にふさわしい題材である。演出も追悼公演風だった。ラストシーンでは、舞台奥のスクリーンに映像が投影される。昭和5年以降の太平洋戦争、原爆投下などに続いて紅テントのパレスティナ公演(50年前だ!)の映像が流れ、現代のパレスティナと思しき映像に続く。感慨深い。
この芝居は唐十郎が新宿梁山泊のために書き下ろしたものである。初演は2005年のザ・スズナリで、その後再演されているが、私は今回が初見である。事前に戯曲を入手して読んだ。舞台写真や数編の解説風エッセイも収録した本で、とても有用だった。
この芝居は昭和5年の浅草玉木座の舞台下を舞台にしている。舞台から水が時々落ちてくるその場所には劇団プペ・ダンサントの文芸部がある。そこに出入りしているのが脚本家志望の若い女性・田口加代――この芝居のヒロインである。
この設定はほとんど事実に基づいている。プペ・ダンサントは実在した劇団で、田口加代は唐十郎の母親の実名である。唐十郎の母は若い頃、浅草の軽演劇の劇団に戯曲を売り込んでいたそうだ(採用されなかったらしい)。母の片目は義眼だった。その父親の梅毒のせいだという。この芝居は、そんな設定を取り入れている。
と言っても、もちろんリアリズム演劇ではない。事実をタネに唐十郎の妄想世界が膨らみ、ズロース・尻・水・ブリキの金魚・義眼などを巡って奇怪な人物たちが狭い舞台を跋扈する。
今年80歳になる大久保鷹が若い役者たちと共に、状況劇場以来変わらぬ怪演をくり広げている。その元気に感服し、感動した。
唐十郎が自身の母親を題材にした『風のほこり』は、今年逝った唐十郎の追悼にふさわしい題材である。演出も追悼公演風だった。ラストシーンでは、舞台奥のスクリーンに映像が投影される。昭和5年以降の太平洋戦争、原爆投下などに続いて紅テントのパレスティナ公演(50年前だ!)の映像が流れ、現代のパレスティナと思しき映像に続く。感慨深い。
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