ピースボート批判の書籍『わが航路』のご紹介2009年03月13日

 第63回ピースボートに「おりづるプロジェクト」のメンバーとして乗船した長崎原爆の被爆者・山口廣治さんの体験記『わが航路  ある被爆者のピースボート体験、そして人生行路』が刊行されました。  私は、この本の編集・制作のお手伝いをしました。60ページ程度の薄い冊子ですが、ピースボートの売名行為に利用されたという著者の無念がよく分かるとともに著者のまじめな性格が伝わってくる内容です。第1部がピースボート体験記、第2部は著者の波乱の半生の記録です。

 『わが航路  ある被爆者のピースボート体験、そして人生行路』
  (著者:山口廣治  発行所:朝日クリエ  定価700円+税)

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安部公房全集、ついに完結2009年03月23日

 安部公房全集の第30巻が刊行された。最終巻である。さっそく入手した。第1巻から第29巻までの29冊は1997年7月から2000年12月まで約3年かけて刊行された。第29巻の挟みこみに、「別巻・書誌(第30巻のこと)」はしばらく先の刊行になるに見込みとの案内があったが、「しばらく先」が8年以上先になるとは思わなかった。新潮社の持続力に感心した。

 この全集の特色は完全編年体であることだ。この特異な全集の編者は安部公房と安部真知の一人娘・安部ねりのようだ。第30巻には安部ねりが書いた「安部公房伝記・年譜」「おわりに―感謝の言葉」なども収録されていてる。
 娘が書いた伝記は、両親の思い出話の趣もあって面白い。かつては時代のヒーローの一人だった作家の晩年の様子も興味深い。

 完全編年体の全集をパラパラとめくってみるだけでも、一人の作家の生涯を眺望しているような気分になり、この作家は何者だったのだろうかという関心があらためて湧き上がってくる。
 最終巻の月報は「安部公房の座標」という表題の三浦雅士の評論だ。安部公房のリルケ体験をベースに、20世紀の思潮の展望のなかでの安部公房の位置づけを試みた刺激的な内容だった。

 安部公房は論じやすそうで論じにくい作家だと思うが、いつか、じっくりと安部公房について考えてみたい。