半世紀前、『理科実験観察事典』は私の宝物だった ― 2015年08月23日
夏休みも終わりに近づき、新聞には「まだ間に合う! 夏休みの自由研究」という記事が載ったりしている。当方は夏休みに関係のない自由人だが、この夏、娘に頼まれて小学4年の孫の自由研究の手ほどきをした。
そんなときに役立つのが『理科実験観察事典』(保育社/1958年3月15日発行)である。57年前、私が小学4年のときに親に買ってもらった本で、いまでもわが書架に保存されている。わたしが現在持っている書籍の中の最古参だ。
小学4年のときに入手した本を半世紀以上も手放さずにきたのは、『理科実験観察事典』は小学生時代の私の宝物で、特別の思い入れがあったからだ。子供の頃、わたしは「この本には何でも載っている」と感嘆した。ドラえもんの秘密道具ほどではないにしても、「何でも…」という万能感に子供心が圧倒されたのである。
『理科実験観察事典』は748ページのハードカバーで250の項目が載っている。その項目例をいくつか挙げてみる。
「アサガオのそだてかた」
「カイコの飼いかた」
「肺活量のはかりかた」
「のみ水のこしかた」
「とうふの作りかた」
「電じしゃくの作りかた」
「電気メッキのしかた」
「せん望鏡の作りかた」
「北極星の見つけかた」
「気圧のはかりかた」
「化石の採集のしかた」
「ハンダづけのしかた」
大半の項目は見開き2ページの説明で、ぶ厚い本に「…のしかた」「…の作りかた」がびっしり詰め込まれているのだ。もちろん、本当に「何でも」載っているわけではないが、半世紀前の小学生にとって250の項目は、自分の身近な世界を超える膨大な量だった。目次を眺めるだけでこの世界の森羅万象の大きさを感じたものだ。
この本の「日食、月食の調べかた」の項目には、日本で見られる日食の一覧表があり、そこには1957年4月29日から2002年6月22日までの21回の日食が載っている。1958年(昭和33年)当時の感覚では2002年はるかな未来だ。この表には未来予言を見るような感動を覚えた。この表を見て、この本は21世紀までは使えるから、それまでは保存しなければならないと思ったような気もする。
当時のはるかな未来だった2002年もすでに過去となり、奇しくもわが孫は、わたしが『理科実験観察事典』を手にしたときと同じ小学4年生である。本書を孫に見せても反応はイマイチだ。おまえにはこの本のスゴさがわからないのかと、がっかりさせられるが、無理に押し付けることもできない。
だが、孫の自由研究は私が本書から選んだ「ブザーや電れいの作りかた」を元に「ブザーのしくみ」という表題の代物を製作した。いまでも、じゅうぶんに役立つ本なのだ。
本来の自由研究は、独創的で自由な発想をきっかけにするべきだろう。だが、そんな立派な自由研究に挑戦できる子供は限られていて、書籍や雑誌やネットなどに載っている指南をトレースするケースが多いようだ。それなら、わが『理科実験観察事典』をベースにすれば、ちょっと変わったレトロな自由研究ができるのではと自負している。
そんなときに役立つのが『理科実験観察事典』(保育社/1958年3月15日発行)である。57年前、私が小学4年のときに親に買ってもらった本で、いまでもわが書架に保存されている。わたしが現在持っている書籍の中の最古参だ。
小学4年のときに入手した本を半世紀以上も手放さずにきたのは、『理科実験観察事典』は小学生時代の私の宝物で、特別の思い入れがあったからだ。子供の頃、わたしは「この本には何でも載っている」と感嘆した。ドラえもんの秘密道具ほどではないにしても、「何でも…」という万能感に子供心が圧倒されたのである。
『理科実験観察事典』は748ページのハードカバーで250の項目が載っている。その項目例をいくつか挙げてみる。
「アサガオのそだてかた」
「カイコの飼いかた」
「肺活量のはかりかた」
「のみ水のこしかた」
「とうふの作りかた」
「電じしゃくの作りかた」
「電気メッキのしかた」
「せん望鏡の作りかた」
「北極星の見つけかた」
「気圧のはかりかた」
「化石の採集のしかた」
「ハンダづけのしかた」
大半の項目は見開き2ページの説明で、ぶ厚い本に「…のしかた」「…の作りかた」がびっしり詰め込まれているのだ。もちろん、本当に「何でも」載っているわけではないが、半世紀前の小学生にとって250の項目は、自分の身近な世界を超える膨大な量だった。目次を眺めるだけでこの世界の森羅万象の大きさを感じたものだ。
この本の「日食、月食の調べかた」の項目には、日本で見られる日食の一覧表があり、そこには1957年4月29日から2002年6月22日までの21回の日食が載っている。1958年(昭和33年)当時の感覚では2002年はるかな未来だ。この表には未来予言を見るような感動を覚えた。この表を見て、この本は21世紀までは使えるから、それまでは保存しなければならないと思ったような気もする。
当時のはるかな未来だった2002年もすでに過去となり、奇しくもわが孫は、わたしが『理科実験観察事典』を手にしたときと同じ小学4年生である。本書を孫に見せても反応はイマイチだ。おまえにはこの本のスゴさがわからないのかと、がっかりさせられるが、無理に押し付けることもできない。
だが、孫の自由研究は私が本書から選んだ「ブザーや電れいの作りかた」を元に「ブザーのしくみ」という表題の代物を製作した。いまでも、じゅうぶんに役立つ本なのだ。
本来の自由研究は、独創的で自由な発想をきっかけにするべきだろう。だが、そんな立派な自由研究に挑戦できる子供は限られていて、書籍や雑誌やネットなどに載っている指南をトレースするケースが多いようだ。それなら、わが『理科実験観察事典』をベースにすれば、ちょっと変わったレトロな自由研究ができるのではと自負している。
コメント
_ (未記入) ― 2015年09月30日 00時05分
_ 神登山 ― 2015年09月30日 20時36分
あの『理科実験観察事典』を愛読された方がいて感動しています。
「日本の古本屋」で検索してみると、この本を売っている古本屋さんがあるようです。
「日本の古本屋」で検索してみると、この本を売っている古本屋さんがあるようです。
_ (未記入) ― 2015年12月30日 11時02分
私も持ってます。
そして、子供の夏休みの宿題にブザーを作ってやりました。
そして、子供の夏休みの宿題にブザーを作ってやりました。
_ 神登山 ― 2016年01月01日 23時09分
同じように現代においてあのブザーを作った方がいるのに感動しています。
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おっしゃる通りに、正に宝物のような本でした。